改訂新版 世界大百科事典 「ホンモロコ」の意味・わかりやすい解説
ホンモロコ (本/本諸子)
Gnathopogon elongatus caerulescens
コイ目コイ科の淡水魚。元来は琵琶湖淀川水系の特産だが,移殖により現在では諏訪湖(長野県),山中湖(山梨県),奥多摩湖(東京都),厚東川(山口県)などにも繁殖している。琵琶湖ではおもに群れをなして外湖の中層を活発に遊泳し,また岩礁などの周辺に集まる習性がある。餌は動物性プランクトンを主とした小動物。産卵期は3~6月で,浅所に来遊し,マコモの茎や水中に降下したヤナギの根などに産卵する。形はタモロコG.e.elongatusに似るが,タモロコよりも体が細長く,口ひげが短く,吻端(ふんたん)がとがっている。鰓耙(さいは)数も16~20でタモロコ(6~12)より多い。全長10~13cm。琵琶湖では重要な食用魚の一つで,晩秋から早春にかけてモロコ網(底引手繰網の一種),その他の季節には小糸網で漁獲される。素焼き(酢みそをつける),塩焼きなどにして冬季はきわめて美味で高価。つくだ煮としても賞味される。春季には産卵のため接岸するので,釣りの対象としても人気がある(琵琶湖のモロコ釣りとして)。
執筆者:中村 守純
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報