ボイネ(その他表記)Giovanni Boine

改訂新版 世界大百科事典 「ボイネ」の意味・わかりやすい解説

ボイネ
Giovanni Boine
生没年:1887-1917

イタリア作家ミラノ大学での交友から文学の道へ進んだが,胸の病気のため生地のリグリア海岸へ帰り,図書館員として働きながら《ボーチェ誌上を中心に作品を発表した。早世したため生前の作品刊行は代表作《罪ある者その他》(1914)のみ。《リビエラ・リグレ》誌に連載した批評集成好評・冷評》(没後の1918)は《ボーチェ》の時代の最良の評論の一つに数えられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボイネ」の意味・わかりやすい解説

ボイネ
ぼいね
Giovanni Boine
(1887―1917)

イタリアのカトリック作家。病弱の短い生涯を賭(か)けて、第一次世界大戦後の知識人の苦悩を、宗教的、哲学的な絶対の善の希求で克服しようとした。代表作は小説『罪』(1914)と『破片』(1918)である。『ボーチェ』誌および哲学者クローチェの強い影響とそこからの離反を経た文学態度は、一般に神秘的傾向の作家と評される以上の、鋭い時代精神に基づく批評性に貫かれている。

[望月紀子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボイネ」の意味・わかりやすい解説

ボイネ
Boine, Giovanni

[生]1887.9.2. フィナルマリーナ
[没]1917.5.16. インペリア
イタリアの小説家批評家。初めヘーゲルや新理想主義を研究したが,次第に文学に近づき,『ボーチェ』などの雑誌運動に加わった。完成された文体のうちに自己の苦悩を表現しようと試みた。小説『罪』 Il peccato (1914) ,評論集『称賛揶揄』 Plausi e botte (18) などがある。

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