ボスポロス王国(読み)ボスポロスおうこく(英語表記)Kingdom of Bosporos

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボスポロス王国」の意味・わかりやすい解説

ボスポロス王国
ボスポロスおうこく
Kingdom of Bosporos

アゾフ海と黒海を結ぶケルチ海峡地方の古代王国。ボスポロス=キンメリオスと呼ばれたこの地方に,前7~6世紀多くのギリシア都市が建設され,それらがパンチカパイオン (現ウクライナのケルチ) の僭主スパルトコスによって統合されて前 438年に王国が成立した。前4世紀まで黒海を制圧,主としてアテネ穀物,魚,奴隷を輸出して繁栄をきわめた。ヘレニズム時代にいたっても王制は存続したが,前3世紀中頃から内乱スキタイ圧迫によって衰退,前 110年頃王家は滅亡し,王国はポントスの王ミトラダテス6世の支配下に吸収された。1世紀に成立した新王朝はローマ帝国の保護の下で 300年間存続した。 342年以降,一時他国の支配を受けたが,ビザンチン帝国領となった。エーゲ海から遠くへだたっていたが,先住民農奴の労働のうえにギリシア文化を維持した特異な存在であった。

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