ボーシャン(読み)ぼーしゃん(英語表記)André Bauchant

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボーシャン」の意味・わかりやすい解説

ボーシャン(André Bauchant)
ぼーしゃん
André Bauchant
(1873―1958)

フランスの画家。アンドル・エ・ロアール県のシャトールノーの生まれ。素朴派(ナイーフ)の代表的画家の1人。父親同様、生涯、庭師を職業とする。第一次世界大戦中、ダーダネルス海峡地方に従軍、その間、写生によるスケッチを手がけ、その技量によって軍事土地測量技師を務める。除隊後、油絵を描き始め、古代ギリシア世界の歴史的・神話的情景を好んで画題にした。またトゥレーヌの農民生活や風景の中の花、さらに現代的風景をも描いたが、それらは彼の詩的ビジョンに染め上げられ、牧歌的世界に変貌(へんぼう)している。1927年、ディアギレフの依頼でバレエミューズを導くアポロ』(ストラビンスキーの音楽)の舞台装置を製作。モントワールで没。

[大森達次]


ボーシャン(Pierre Beauchamp)
ぼーしゃん
Pierre Beauchamp
(1636―1719)

フランスの舞踊家、振付者。ベルサイユに生まれる。音楽と舞踊に精通した家庭に育ち、宮廷バレエに出演、1661年王立舞踊アカデミー(後のパリ・オペラ座バレエ団)の監督になり、のちメートル・ド・バレエとなった。ルイ14世にバレエを教えたほか、モリエールのコミック・バレエやリュリ作曲の作品を振り付けた。バレエ史上特筆されるのは、バレエの原則である「足の五つのポジション」を決めたことである。踊り手としても優れたテクニックで有名で、空中での回転をした最初のダンサーといわれる。

[市川 雅]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボーシャン」の意味・わかりやすい解説

ボーシャン
Bauchant, André

[生]1873.4.24. シャトールノー
[没]1958.8.12. モントアール
フランスの画家,舞台装置家。初め園芸家であったが,47歳のときに画家に転向し,1921年のサロン・ドートンヌに入選。素朴派の一人で,主として動物,植物を配したナイーブな幻想的風景を描いた。 27年からディアギレフ・バレエ団の舞台装飾を担当し,その主要作品は『天地創造の日』の装置。

ボーシャン
Beauchamp, Pierre

[生]1636. ベルサイユ
[没]1705. パリ
フランスの舞踊家。 1661年王立舞踊アカデミー (のちのパリ・オペラ座バレエ団) の初代振付師に任命され,ルイ 14世に舞踊を教え,81年王とともに『愛の勝利』を踊った。またバレエの基本技法である脚足の5つのポジションを考案,舞踊譜を発明し,跳躍の新しい技術を開発するなど,舞踊理論家としての功績は大きい。

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