クロンプトン(読み)くろんぷとん(英語表記)Samuel Crompton

デジタル大辞泉 「クロンプトン」の意味・読み・例文・類語

クロンプトン(Samuel Crompton)

[1753~1827]英国発明家水力紡績機ローラー機構と、ジェニー紡績機りの原理とを組み合わせた、細くて強い糸の作れるミュール紡績機発明

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精選版 日本国語大辞典 「クロンプトン」の意味・読み・例文・類語

クロンプトン

  1. ( Samuel Crompton サミュエル━ ) イギリス産業革命期の発明家。細くて均質な、強い糸の作れる紡績機(ミュール機)を発明。(一七五三‐一八二七

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロンプトン」の意味・わかりやすい解説

クロンプトン
くろんぷとん
Samuel Crompton
(1753―1827)

イギリス産業革命期の発明家。ミュールmule紡績機の発明で知られる。ランカシャーボールトン郊外の農家に生まれる。幼時期に父と死別したため早くから織布工として生計をたて、原料糸の自給のためジェニー紡績機を使用したことから、1772年以降その改良を志す。1779年、水力紡績機のローラーによる粗糸引伸しの機構とジェニー紡績機の紡錘による撚(よ)りかけの原理を組み合わせた紡績機を考案した。この機械はジェニーと同じく、撚りかけと巻き取りが交互になされ、その操作と構造は水力紡績機よりも複雑だったが、経(たて)糸、緯(よこ)糸のいずれも生産が可能で、しかも細糸が生産できる点でそれら両機種より優れており、急速に普及した。ミュール(ラバウマとロバの混血)の名は、両機種の特徴を兼ね備えていることに由来する。当初、ミュールは手動であったが、その後動力化が試みられ、1830年、発明家ロバーツにより自動ミュール紡績機として完成され、19世紀末までイギリス綿工業の主力機種となった。しかしクロンプトン自身は、1780年に特許をとることなくミュールを公開したため、この発明によってほとんど得るところがなく、1812年国会によりわずか5000ポンドの一時金を与えられただけであった。経営の才に恵まれなかったため、彼自身の事業は失敗し、失意うちにボールトンで没した。

[水野五郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「クロンプトン」の意味・わかりやすい解説

クロンプトン
Samuel Crompton
生没年:1753-1827

イギリスの発明家。ランカシャーの紡織工で1779年ミュール紡績機械を発明。1770年代には,R.アークライトのウォーター・フレーム(水力紡績機)による経糸(たていと)とJ.ハーグリーブズのジェニー紡績機による緯糸(よこいと)とを用いて薄手の綿布がつくられたが,薄手化の傾向は強まり細番手の糸がさらに求められた。当時の紡績機械では張力に細い糸が耐えられず切れてしまうため紡ぐことができず,長繊維を用い少数の紡織工の手作業によって製造していた。そこでクロンプトンは79年に,ウォーター・フレームの長所であるローラーによる引伸しと,ジェニー紡績機の手加減によって調節される撚(よ)りかけとを組み合わせた細糸用の機械を発明。ミュールはジェニー紡績機同様に不連続な段階的操作を必要としたが,細糸が機械製造されるようになった意義は大きい。二つの紡績機械をかけ合わせてつくられたところから,のちにミュール(ラバ)と呼ばれるようになった。クロンプトンはこの機械を自家用としてのみ使用し,特許申請をしなかった。またアークライトのローラーによる引伸しもこのころ特許が無効となったため,80年代の初めには,このクロンプトンのミュール紡績機は急速に普及した。しかし,クロンプトン自身は再三事業に失敗し経済的には恵まれなかった。
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百科事典マイペディア 「クロンプトン」の意味・わかりやすい解説

クロンプトン

英国の発明家。紡績工をしていたが20歳ごろから紡績機械の製作に当たり,1779年細い均質な糸のできる機械を発明。これはアークライトの水力紡績機とハーグリーブズのジェニー機の特長を組み合わせたようなものなので,ミュール(ラバ)機と呼ばれた。
→関連項目産業革命

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「クロンプトン」の解説

クロンプトン
Samuel Crompton

1753~1827

イギリス産業革命期のミュール紡績機の発明者。1779年,ジェニ紡績機と水力紡績機の長所をとってミュール機を発明。薄手の綿織物の生産を可能にし,イギリス綿工業を飛躍させたが,自身は貧困のうちに生涯を終えた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「クロンプトン」の解説

クロンプトン
Samuel Crompton

1753〜1827
イギリス産業革命期の発明家
ハーグリーヴズのジェニー紡績機とアークライトの紡績機を折衷改良して,1779年ミュール(走錘)紡績機を発明した。この結果細くて長い糸の生産が可能となったが,彼はこの発明の特許を申請せず,ミュール紡績機が大量に普及しても経済的には不遇であった。

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