日本大百科全書(ニッポニカ) 「マウナ・ロア火山」の意味・わかりやすい解説
マウナ・ロア火山
まうなろあかざん
Mauna Loa
アメリカ合衆国、ハワイ諸島のハワイ島中央部を占める活火山。標高4170メートル。巨大な玄武岩質楯状(たてじょう)火山。マウナ・ケア山に次ぐハワイ諸島第二の高峰で、水深約4000メートルの海底からそびえ立ち、基底の直径は100キロメートル余。山頂カルデラから三方向に割れ目地帯があり、カルデラ内の山頂噴火から割れ目噴火へ移行することが多い。1832年から1984年までに約40回の噴火が記録され、多量の溶岩を流出した。1950年の大噴火では、長さ20余キロメートルの「火のカーテン」(一連の溶岩噴泉)から約12億トンの溶岩が出され、最高流速毎秒約14メートルで、約3キロメートルも先の海まで流下した。新溶岩は1100~1200℃で、ごく流動性に富み、しばしば惨害を出す。溶岩流は、噴出時の物理的条件の相違で、縞(しま)模様のついたパホイホイ溶岩(縄状溶岩)か、コークスを集積したような外観のアア溶岩になる。熱帯にありながら、頂部には冬に積雪がある。この火山と、隣接する活火山キラウエア火山のために、1912年に創設されたハワイ火山観測所は、世界無比の総合的火山観測所である。
[諏訪 彰]