マショー(読み)ましょー(英語表記)Guillaume de Machaut

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マショー」の意味・わかりやすい解説

マショー
ましょー
Guillaume de Machaut
(1300ころ―1377)

ランスの作曲家、詩人。シャンパーニュ地方に生まれ、1323年からリュクサンブール伯でボヘミア王でもあったジャン・ド・リュクサンブールの秘書官として活躍したが、46年にジャンが戦死したあとは、フランス王ジャン2世王妃ボンヌ、ナバル王シャルル、そしてジャン2世の息子たちに仕えた。同時に、37年からランス大聖堂参事会員も務め、晩年はランスで過ごした。マショーはトルーベール歌曲の伝統を受け継ぎ、歌曲定型を確立して、以後のフランス多声歌曲の方向を決定づけたばかりでなく、13世紀以来のモテトゥスの分野にも優れた才能を発揮した、14世紀フランスにおける最大の作曲家である。またミサ通常文のすべての章を多声曲として通作した、四声の『ノートル・ダム・ミサ曲』を書いたが、これは一人の作曲家の手になる史上最初の通作ミサ曲として重要である。また、詩作品では『運命の女神の薬』(1341ころ)、『獅子(しし)物語』(1342)などのほか、60歳の彼が16歳の少女と文通、その友情を牧歌的に歌った『真実物語』(1362~65)がとくに有名である。

[今谷和徳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マショー」の意味・わかりやすい解説

マショー
Machault d'Arnouville, Jean-Baptiste de

[生]1701.12.13. パリ
[没]1794.7.13. パリ
フランスの政治家。法服貴族の家に生れ,エノーのアンタンダンを経て,1745年 12月財務総監となった。財政上の公正を期するため,すべての所得に5%の税をかける 20分の1税を創設したが,聖職者階級と高等法院の攻撃を受け,ついに前者は当該税から免除されるにいたった。 54年財務総監職を退き,海相となったが,オーストリアとの同盟に反対してポンパドゥール侯夫人支持を失い,57年引退。 93年反革命容疑者として逮捕され,翌年獄死。

マショー
Machaut, Guillaume de

[生]1300頃.マショー
[没]1377.4. ランス
フランスの聖職者,詩人,作曲家。 1323年からボヘミアの王ヨハンに仕え,37年ランスの聖堂参事会員。ヨハンの死後,フランスの宮廷に仕え,シャルル2世や王侯貴族の庇護を受け晩年はランスで安楽な生活をおくった。抒情詩とその旋律化は一体をなすと考え,アルス・ノバの代表的作曲家として,当時用いられていたほとんどの音楽形式による曲を書いた。作品中唯一のミサ曲『ノートル・ダム・ミサ』は,一人の作曲家が多声的に通作した現存する最古の作品として歴史的に重要。そのほか世俗歌曲の作品も多い。

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