ヘビクビガメ科Chelidaeに属する1属1種の変わったカメ。ベネズエラ,ギアナ,ブラジルの北・中部に分布し,甲長約40cm,カメ類でもっとも奇妙な形態をした種として知られる。マタマタという風変りな英名は〈皮膚〉を意味する現地語に由来する。甲は扁平で,背甲の椎甲板,肋甲板の各甲板が山形に隆起し,後方の縁甲板は鋸歯状にとがる。腹甲は幅狭い。頭部は扁平な三角形で縁や下あごには房状の飾りがあり,吻(ふん)部は小さな管状にのび先端に鼻孔が開く。口は大きいがあごの力は弱い。頸部(けいぶ)は長くて幅広く,多くの房状の飾りがついている。川などのよどんだ淡水の水底にすみ,夜行性で動作はにぶく,日中は物陰に隠れている。甲は水底の石のように見え,とくに藻類が付着するためカムフラージュされる。餌は魚などで,頭頸部の房状飾が餌のように見えて魚を引きつける。わずかな水流の変化をも感じとり,魚が接近するとくびをのばしながら急に口を開き,水とともに獲物を飲み込む。
→カメ
執筆者:松井 孝爾
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爬虫(はちゅう)綱カメ目ヘビクビガメ科のカメ。1属1種で、ベネズエラ、ギアナ、ブラジル北部・中部に分布し、同科のなかでは大形で甲長約40センチメートルに達する。マタマタという風変わりな英名は「皮膚」を意味する現地語に由来し、形態的にもカメではもっとも奇妙な種として知られる。甲は扁平(へんぺい)で、背甲の各甲板が山形に隆起し、縁甲板は後部で鋸歯(きょし)状にとがる。腹甲は幅が狭い。頭部は三角形で平たく、吻(ふん)部は細い管状に伸び鼻孔が開く。口は大きいが、あごの力は弱い。頸(けい)部は長くて幅広く、皮膚に多くの房状の飾りがある。よどんだ河川の水底に横たわり、餌(えさ)のようにみえる飾りに誘われて近寄る魚を、大きな口で水とともに飲み込む。日中は物陰に隠れているが、甲には藻類が付着して水底の石のようにみえる。
[松井孝爾]
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…約10属37種が南アメリカ,オーストラリア,ニューギニアの淡水に分布する。大半は甲長20cm前後の小型であるが,奇異な頭頸(とうけい)部の形状で知られるマタマタChelus fimbriatus(イラスト)は甲長約40cmに達する。ヘビクビガメの名のとおり,頭頸部がヘビのように細長く,これを甲の縁に沿って水平に曲げ,背甲と腹甲の間に隠す。…
※「マタマタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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