マタマタ(その他表記)matamata
Chelus fimbriatus

デジタル大辞泉 「マタマタ」の意味・読み・例文・類語

マタマタ(matamata)

ヘビクビガメ科のカメ。甲長約40センチ。頭部扁平へんぺい三角形で、房状の飾りが多くつく。南米北部の川や沼地に生息する。名は、「皮膚」を意味する現地言葉から。

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改訂新版 世界大百科事典 「マタマタ」の意味・わかりやすい解説

マタマタ
matamata
Chelus fimbriatus

ヘビクビガメ科Chelidaeに属する1属1種の変わったカメ。ベネズエラギアナ,ブラジルの北・中部に分布し,甲長約40cm,カメ類でもっとも奇妙な形態をした種として知られる。マタマタという風変りな英名は〈皮膚〉を意味する現地語に由来する。甲は扁平で,背甲の椎甲板,肋甲板の各甲板が山形に隆起し,後方縁甲板鋸歯状にとがる。腹甲は幅狭い。頭部は扁平な三角形で縁や下あごには房状の飾りがあり,吻(ふん)部は小さな管状にのび先端鼻孔が開く。口は大きいがあごの力は弱い。頸部けいぶ)は長くて幅広く,多くの房状の飾りがついている。川などのよどんだ淡水水底にすみ,夜行性で動作はにぶく,日中は物陰に隠れている。甲は水底の石のように見え,とくに藻類が付着するためカムフラージュされる。餌は魚などで,頭頸部の房状飾が餌のように見えて魚を引きつける。わずかな水流の変化をも感じとり,魚が接近するとくびをのばしながら急に口を開き,水とともに獲物を飲み込む。
カメ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マタマタ」の意味・わかりやすい解説

マタマタ
またまた
matamata
[学] Chelus fimbriatus

爬虫(はちゅう)綱カメ目ヘビクビガメ科のカメ。1属1種で、ベネズエラ、ギアナ、ブラジル北部・中部に分布し、同科のなかでは大形で甲長約40センチメートルに達する。マタマタという風変わりな英名は「皮膚」を意味する現地語に由来し、形態的にもカメではもっとも奇妙な種として知られる。甲は扁平(へんぺい)で、背甲の各甲板が山形に隆起し、縁甲板は後部で鋸歯(きょし)状にとがる。腹甲は幅が狭い。頭部は三角形で平たく、吻(ふん)部は細い管状に伸び鼻孔が開く。口は大きいが、あごの力は弱い。頸(けい)部は長くて幅広く、皮膚に多くの房状の飾りがある。よどんだ河川の水底に横たわり、餌(えさ)のようにみえる飾りに誘われて近寄る魚を、大きな口で水とともに飲み込む。日中は物陰に隠れているが、甲には藻類が付着して水底の石のようにみえる。

[松井孝爾]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マタマタ」の意味・わかりやすい解説

マタマタ
Chelys fimbriata; matamata

カメ目ヘビクビガメ科。甲長 40cmに達するかなり大型の淡水性のカメ。甲羅は平たく,3列に並ぶとがった隆起があり,頸の周囲には不定形の皮膚の突起があって,頭に奇妙な外観を与えている。眼は非常に小さく,口は大きいが角質の顎はなく,吻端は細く伸びてその先端に鼻孔が開いている。南アメリカの河川にすみ,口を大きく開いたまま川底に静止して,餌になる小動物がくるのを待つ。

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百科事典マイペディア 「マタマタ」の意味・わかりやすい解説

マタマタ

ヘビクビガメ科の爬虫(はちゅう)類。南米北東部に分布。甲長25〜40cm。甲は平たくがっしりし,ごつごつした山があり,藻類に覆われていることが多い。水底にひそみ,吻部だけを水面からだして呼吸する。待ち伏せ型の捕食者で,魚が射程距離に入ると,急にくびをのばし,口を大きく開けてくわえこむ。近年では,ペットとして人気が高まっている。

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世界大百科事典(旧版)内のマタマタの言及

【ヘビクビガメ(蛇頸亀)】より

…約10属37種が南アメリカ,オーストラリア,ニューギニアの淡水に分布する。大半は甲長20cm前後の小型であるが,奇異な頭頸(とうけい)部の形状で知られるマタマタChelus fimbriatus(イラスト)は甲長約40cmに達する。ヘビクビガメの名のとおり,頭頸部がヘビのように細長く,これを甲の縁に沿って水平に曲げ,背甲と腹甲の間に隠す。…

※「マタマタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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