改訂新版 世界大百科事典 「マッカダム」の意味・わかりやすい解説
マッカダム
John Loudon McAdam
生没年:1756-1836
マカダム工法Macadamizingと呼ばれている道路舗装法を創案したイギリスの道路技術者。スコットランドのエールに地主の子として生まれ,1770年にアメリカに渡り,富を得て83年に帰国した。若いときから道路に関心をもち,帰国後道路建設工法の改革を志した。彼は種々の実験を行い,車両の重量を支えるのは自然土であり,土が乾燥している間は沈下しないという結論を得,これに基づき,従来用いられていた費用の高い石材基礎を廃し,土壌に排水設備を施すかあるいは水位より上に道路を作り,表面に不浸水性砕石をかぶせる方式を考案した。1815年ブリストル・ターンパイク・トラストの道路総監督に指名され,彼の工法によって700マイル以上のターンパイク(有料道路)が建設され,その成功から17年以降ロンドンやその他の都市においてもこの工法が採用された。27年にロンドン地区14のターンパイク・トラストが,彼の指導の下で大規模トラストに再編され,彼の3人の息子たちもその責任者となって活躍,とくにジェームズSir James McAdamは同トラストの総監督に指名された。マカダム工法は現代のアスファルトやコンクリート舗装が出現するまで,ヨーロッパやアメリカにおける道路建設工法の中心となったが,鉄道の急速な発達によりターンパイク建設事業は落ち込み,マカダム工法の社会経済的意義も相対的に低下した。
執筆者:佐藤 馨一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報