日本大百科全書(ニッポニカ) 「マニホットゴムノキ」の意味・わかりやすい解説
マニホットゴムノキ
まにほっとごむのき
[学] Manihot glaziovii Müll. Arg.
トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の落葉中高木で、高さ15メートルになる。ブラジル原産のゴム植物の一つ。キャッサバ(マニオク)とは同属であるが、塊根はつくらない。枝は三つに分枝する。葉は掌状に3~5裂し、長さ15~45センチメートルの葉柄をもち、裏面は灰白色で、乾期には落葉する。円錐(えんすい)花序を頂生し、黄色を帯びた雌雄異花をつける。花弁は欠く。蒴果(さくか)は球形で浅く溝があり、径約3センチメートル、3個の種子を内蔵する。種子は球形で、トウゴマに似た斑紋(はんもん)がある。樹液からゴムがとれる。
セアラゴムノキともよばれるようにブラジルのセアラ地方でみいだされ、1876年に種子がイギリスに渡り、東南アジアで試作されたが、1910年代には栽培中止に至った。それは、パラゴムノキより樹液の分泌が持続せず、樹命も短く、収量が劣り、品質も悪く、風で枝が折れやすいなどの理由による。ただし、パラゴムノキよりも乾燥に耐える。
[湯浅浩史 2020年6月23日]