マルグレス(読み)まるぐれす(英語表記)Max Margules

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルグレス」の意味・わかりやすい解説

マルグレス
まるぐれす
Max Margules
(1856―1920)

オーストリアの気象学者。ガリツィア(現在のウクライナポーランドにまたがる地域)のブローディーに生まれる。ウィーンギムナジウム(中等学校)で数学物理学を身につけ、1877年ウィーンの中央気象台助手として就職した。1879年いったん辞職して1880年までベルリンの大学で学び、1882年中央気象台に戻って1906年まで在職。退職後は恩給で生活しながら化学の研究を始めたが、第一次世界大戦と戦後インフレによる窮乏から栄養失調で死亡した。業績としては1903年に発表した「暴風論」が有名で、位置エネルギーが運動エネルギーに転じ、その結果暴風となることを明らかにした。1906年に発表した論文「定常運動中の、または静止している空気中の温度の成層について」には不連続面の傾斜の式が示されているが、これはマルグレスの式として広く知られている。

根本順吉

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルグレス」の意味・わかりやすい解説

マルグレス
Margules, Max

[生]1856.4.23. ガリシア,ブロディ
[没]1920.10.4. ペルヒトルズドルフ
オーストリアの気象学者,物理学者ウィーン大学で数学,物理学を修め,1877年ウィーン中央気象台に勤務。その後ベルリン大学に学び,1880年ウィーン大学私講師となる。再び気象台に戻り,1906年まで在職。初期にはデュエム=マルグレスの式を導くなど物理学・物理化学を研究したが,やがて気象現象に注目し,地球大気の圧力振動の研究(1893),熱帯性低気圧の運動エネルギー発生機構の研究(1901)など,大気エネルギー全般にわたる理論的分析を展開した。しかし研究は存命中に認められず,晩年は不遇だった。

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