コルクの栓抜き状の角をもつ野生のヤギ。偶蹄目ウシ科の哺乳類。ウズベキスタン,タジキスタンの山地からアフガニスタン,パキスタン中・北部,インドのカシミールに分布。野生ヤギ類中最大で,雄は体長161~168cm,尾長8~14cm,肩高86~100cm,体重80~110kg。雌はやや小型で体長140~150cm,体重32~40kg。雄の角は大きく長く,雌の4倍以上あり,ねじれに沿った長さは75~160cmに達する。体毛は絹毛状で,首筋にたてがみ,あごからのど,胸にかけて長毛が発達する。夏毛は淡い橙褐色から砂色,冬毛はくすんだ灰色で,尾,あごひげ,四肢上部,腹部などの一部は黒い。標高700~4000mの山地の森林地帯にある岩場に5頭以下の小さな群れで生活することが多く,森林内や周辺の草原を採食地とする。雌雄は別々の群れを形成するが,雄の成獣は単独性の傾向が強い。10月下旬から12月上旬の交尾期には雄は角を突き合わせて闘い,小さなハレム群をつくる。妊娠期間は約6ヵ月,1産1~2子を生む。子は次の交尾期まで母親と過ごす。寿命は飼育下で20年前後といわれる。角が高価な装飾品となるため,乱獲され,個体数は著しく少なく,8000頭内外が生息するにすぎないという。
→ヤギ
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の動物。ネジツノヤギともいう。産地によって6亜種に分類される。カシミールからヒマラヤを経てアフガニスタンまで分布し、山岳地帯の険しい高地に生息する。野生ヤギの最大種で、体長1.1メートル、肩高1メートル、体重90キログラム。角(つの)は雌雄いずれにもあり、一見コルクの栓抜きのようにねじれ、長さ1.2メートルに及ぶものがある。体色は、夏は茶色、冬期は灰色に変わる。成獣の雄では胸、肩に長毛が生える。妊娠期間は5~6か月で、1産1子。冬期に交尾し、春に出産する。生息数が少なく、国際的に保護されている。日本では、川崎市夢見ヶ崎動物公園、姫路(ひめじ)セントラルパークなどに飼育例がある。
[中川志郎]
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出典 小学館の図鑑NEO[新版]動物小学館の図鑑NEO[新版]動物について 情報
…【山下 正男】【谷 泰】。。…
…主としてヨーロッパ系の乳用ヤギの先祖とされる。(2)マーコールmarkhor(C.falconeri)(イラスト)アフガニスタン,ヒマラヤ,チベットの山岳地帯に分布し,ときには平地にもすむ野生ヤギで,角は大きくらせん状。毛用種のアンゴラ種,カシミア種がこれから生まれたといわれているが,ベゾアールとの交雑種に由来したものも数多い。…
…主としてヨーロッパ系の乳用ヤギの先祖とされる。(2)マーコールmarkhor(C.falconeri)(イラスト)アフガニスタン,ヒマラヤ,チベットの山岳地帯に分布し,ときには平地にもすむ野生ヤギで,角は大きくらせん状。毛用種のアンゴラ種,カシミア種がこれから生まれたといわれているが,ベゾアールとの交雑種に由来したものも数多い。…
※「マーコール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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