みなみまぐろ保存委員会(読み)みなみまぐろほぞんいいんかい(その他表記)Commission for the Conservation of Southern Bluefin Tuna

日本大百科全書(ニッポニカ) 「みなみまぐろ保存委員会」の意味・わかりやすい解説

みなみまぐろ保存委員会
みなみまぐろほぞんいいんかい
Commission for the Conservation of Southern Bluefin Tuna

ミナミマグロ資源管理と持続的利用を目的とする国際機関(地域漁業管理機関)。略称CCSBT。日本、オーストラリアニュージーランドが1980年代に結んだ自主管理協定を公式化する形で、1994年発効の「みなみまぐろの保存のための条約Convention for the Conservation of Southern Bluefin Tuna」に基づいて同年に発足した。日本は発足時から加盟。事務局はオーストラリアのキャンベラ南半球だけに分布するミナミマグロについて、インド洋太平洋大西洋などすべての生息域を対象とする。科学的調査に基づき、総漁獲可能量TAC:Total Allowable Catch)や国・地域別漁獲枠などを決定している。また漁獲、水揚げ貿易にわたって、タグなどを用いてモニターする漁獲証明制度を実施し、海鳥などの混獲対策も実施している。2022年3月時点の条約締約(加盟)国は、日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、インドネシア南アフリカの6か国。さらに、資源管理に協力的な非加盟国等のうち、台湾ヨーロッパ連合EU)がCCSBTの拡大委員会にメンバーとして参加している。資源が激減するミナミマグロは大西洋西部のクロマグロなどとともに、絶滅危惧(きぐ)種に指定された。その後、国際機関の資源管理の強化で、資源量が徐々に回復し、2021年にクロマグロなどの指定が外れたが、ミナミマグロは絶滅危惧種に指定されたままである。なお、マグロ類は広い海域を回遊するため、CCSBTのほかに、海域ごとに、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)、全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC、東太平洋が対象)、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT(アイキャット))、インド洋まぐろ類委員会(IOTC)がある。

[矢野 武 2022年6月22日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「みなみまぐろ保存委員会」の意味・わかりやすい解説

みなみまぐろ保存委員会
みなみまぐろほぞんいいんかい
Commission for the Conservation of Southern Bluefin Tuna; CCSBT

1993年にオーストラリア,日本,ニュージーランドの 3国間で締結された「みなみまぐろの保存のための条約」(1994発効)に基づき設置された地域的漁業管理機関。事務局所在地はオーストラリアのキャンベラ。ミナミマグロ資源の保存管理および最適利用を確保することを目的として,加盟国間の総漁獲可能量および割当量の決定,条約の目的に合致する規制措置の検討,漁業管理措置の採択・実施などを行なう。2012年4月の時点で加盟国は,インドネシア,オーストラリア,大韓民国,日本,ニュージーランドの 5ヵ国。台湾が「台湾漁業主体」として,CCSBT拡大委員会の一員として参加。

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