ムチン(読み)むちん(英語表記)Muzin ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムチン」の意味・わかりやすい解説

ムチン
むちん
Muzin ドイツ語
mucin 英語

粘液性物質。粘液(ラテン語mucus)に由来する。ハマースタインO. Hammersteinは希無機酸によって沈殿し、過剰の酸の添加で溶解しない動物性粘性タンパク質ムチンとよんだ(1882)。今日の分類によれば、動物の上皮性細胞、粘膜唾液(だえき)腺などが生産する粘液性物質の総称で、種々のプロテオグリカン(ムコ多糖タンパク質)と糖タンパク質の混合物である。ムチンという語は、特定の粘液性物質、たとえば、顎下腺(がくかせん)ムチン、腸液ムチンなどの名称として用いられている。共通な構造として、糖タンパク質の糖鎖とタンパク質との結合様式が、糖鎖部分のN-アセチルガラクトサミンとタンパク質部分のセリンあるいはトレオニンスレオニン)がO-グリコシド結合で結合している。そのため、このような結合様式をもつ糖タンパク質をムチン型糖タンパク質とよぶことがある。

[徳久幸子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムチン」の意味・わかりやすい解説

ムチン
mucin

粘液素,粘素ともいう。糖蛋白質一種。粘膜から分泌される粘液の主成分で,密度の濃い粘りけをもち,粘膜を潤し,摩擦を防いだり,細菌が侵入するのを防護する。

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