改訂新版 世界大百科事典 「メタカラコウ」の意味・わかりやすい解説
メタカラコウ
Ligularia stenocephala(Maxim.) Matsum.et Koidz.
深山の湿った草原に生えるキク科の多年草。しばしば群生する。茎は高さ100cmに達し,多数の根出葉をつけ,少数の茎葉をつける。根出葉は長柄があり,葉身は3角状心形である。茎葉は3枚内外,上のものほど小さく,葉柄も短くなる。いずれも葉柄の基部が広くなって,葉鞘(ようしよう)となり茎を包む。花期は6~9月。密な総状花序に多数の頭花をつけ,下の頭花から上の頭花へと順に開花していく。頭花は周辺に1~3個の雌性の舌状花があり,中に6~7個の両性の筒状花がある。まれにまったく舌状花を欠く株もある。総苞は狭い筒状で,片が5個ある。本州~九州から台湾,中国大陸にかけて分布する。本種に近縁なものにオタカラコウL.fischeri (Ledeb.) Turcz.がある。ヒマラヤから中国,シベリア東部から日本へと広く分布するが,北海道と東北地方北部にはない。谷間の渓流沿いにしばしば群生する。基本的にはメタカラコウと同じ体制であるが,より大きく,草丈が2mを越えるものがある。花期は7~11月。頭花には8個内外の舌状花がある。総苞は筒状鐘形で,片が8~9個ある。頭花が大型の散房状花序につくマルバダケブキL.dentata(A.Gray)Haraも大型の多年草で,深山の草原または林下に生える。中国中南部から日本にかけて分布するが,九州になく,四国や中国地方,近畿地方ではまれで,中部地方以北の本州に多い。マルバダケブキの無い九州や少ない四国,中国地方と近畿地方にはハンカイソウL.japonica(Thunb.)Less.がある。花序は大型の散房状でマルバダケブキと同様であるが,葉は掌状に深裂している点で異なる。
執筆者:小山 博滋 オタカラコウは朝鮮で野菜として食用にされる。またハンカイソウやトウゲブキ(別名エゾタカラコウ)L.hodgsonii Hook.f.は,欧米で観賞用に栽培されている。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報