メラー(読み)めらー(英語表記)Christian Möller

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メラー」の意味・わかりやすい解説

メラー
めらー
Christian Möller
(1959― )

ドイツのメディア・アーティストフランクフルト生まれ。フランクフルト応用科学大学で建築を学んだ後、奨学生としてウィーンの芸術アカデミーでグスタフ・パイヒルGustav Peichl(1928―2019)に師事する。フランクフルトのシュテーデル大学付属ニュー・メディア研究所の研究員、オーストリアリンツの芸術デザイン大学付属のリサーチインスティテュート・アルキメディア所長、カールスルーエ州立造形大学教授を経て、2001年よりカリフォルニア大学ロサンゼルス校教授としてデザインとメディア・アートを教える。

 1991年の『シネマトスコープ』を皮切りに都市空間と映像をテーマとしたインスタレーションを発表、従来の展覧会の形式にとどまらない、建築・公共空間を舞台とした多くの実験的なプロジェクトを展開。各種の電子メディア技術を導入し、現実空間とバーチャル空間の相互作用を生み出す試み行う。

 メラーの名を一躍国際的なものとした『キネティック・ライト・スカルプチャー(変化する光の彫刻)』(1994)では、フランクフルトの中心街に位置するショッピング・センターの壁面をメッシュ状の金属シートで覆い、風向き風力、気温などの諸条件に対応させてシートの色や形状をコンピュータ制御で変化させる大がかりなインスタレーションを行った。日本では1997年(平成9)、翌1998年と立て続けに個展を開催、円形のステージに無数の円柱を立てて、そのスペースを観客が歩き回った情報を音声化するインスタレーション作品『オーディオグローブ』(1997)と、レーザー光線を用いて空間全体を変容させるインスタレーション作品『バーチャル・ケージ』(1997)を出品し、情報環境に潜む問題を問いかけた。そのほかの代表作としては『ライト・アンド・オーディオ・パーク』(1995)がある。

 また、コンピュータ空間に多くのサイバーアーキテクチャー(コンピュータ空間の構築物。重力束縛を受けず、現実では不可能な構築も可能となる)を構築するなど建築家としての側面をもち、自作を実験的建築とよぶことが多い。このようにメラーのもっとも本質的な関心は、人間とバーチャル空間とがインタラクティブに作用する建築空間を生み出すことにある。

[暮沢剛巳]

『『キヤノンの文化支援プロジェクト1991―2000』(2000・キヤノン)』『渡辺保史著『情報デザイン入門』(平凡社新書)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メラー」の意味・わかりやすい解説

メラー
Møller, Poul Martin

[生]1794.3.21. ナクスコウ近郊
[没]1838.3.13. コペンハーゲン
デンマークの詩人コペンハーゲン大学で神学を学び,卒業後教師となったが,1819~21年不幸な恋から逃れるために船の牧師として東洋に航海し,ことに中国に長く滞在した。この旅の収穫が詩集『懐郷』 Hjemveで,ほかに詩集『ローセンボル宮庭園での情景』 Scener i Rosenborg Have,小説『一デンマーク学生の冒険』 En dansk Students Eventyr,アフォリズム集『わらの思想』 Strøtanker (1822) がある。後半生は母校の哲学教授をつとめながら (教え子のうちにはキルケゴールがいる) ,芸術愛好者として過した。

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世界大百科事典(旧版)内のメラーの言及

【ソフトウェア工学】より

… こうした問題点を解決する手法として,1980年代末から1990年代にかけて,オブジェクト指向ソフトウェア開発が注目を集めた。構造的な手法を改善する方向のシュレイアーS.Shlaer/メラーS.J.Mellorの方法/支援系(Teamwork)から,ランボーJ.Rambaughの方法/支援系(OMT)を経て,オブジェクト指向独自の視点からソフトウェア開発を行うようになった。 1997年にはランボーとブーチG.BoochとヤコブソンI.Jacobsonによる統一記法UML(Unified Modeling Language)に収束し,オブジェクト指向ソフトウェア開発も実用になりつつある。…

※「メラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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