メルセンヌ(読み)めるせんぬ(英語表記)Marin Mersenne

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メルセンヌ」の意味・わかりやすい解説

メルセンヌ
めるせんぬ
Marin Mersenne
(1588―1648)

フランスの哲学者、科学者イエズス会学院に学ぶ。ミニーム会士となり、ヌベールで哲学を講じる。1620年以降はパリに住む。錬金術占星術も含めあらゆる学問に興味を示すが、しだいに近代的な機械論の立場を明確にし、実験を重視する物理数学的方法による自然研究を行った。とくに素数のうちの「メルセンヌ数」は有名である。音響論『普遍的調和』(1636~1637)のほか、多数の著書がある。また、1635年から科学アカデミー前身メルセンヌ・アカデミー」を主宰し、デカルトガリレオをはじめとしてヨーロッパ中の学者と交際、速やかな情報交換を可能にして学術交流に貢献するとともに、制度としての科学研究確立の先駆をなした。

[香川知晶]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メルセンヌ」の意味・わかりやすい解説

メルセンヌ
Mersenne, Marin

[生]1588.9.8. オアゼ
[没]1648.9.1. パリ
フランスの哲学者,数学者。ラフレーシュの王立学院 (1604~09) ,パリで学び,1611年ミニモ会に入った。ヌベールの修道院で哲学を教えたあと,20年パリに定住。多くの学者と交際し,彼の修道院はメルセンヌ・アカデミーと呼ばれた。学院での友デカルトも出入りし,その『省察』の駁論答弁は彼の仲介によって成立した。 25年の大著『諸学の真理』 La vérité dans les sciencesはそれまでの懐疑論反駁を集大成した対話篇。以後科学的研究に向ったが,科学が絶対的真理を獲得しうるとは考えなかった。彼の関心は百科全書的に多岐にわたるが,科学的著作では音楽論『宇宙の調和』 Harmonie universelle (36~37) が有名。その膨大な書簡集は当時の学界の状況を伝える史料としても貴重。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android