改訂新版 世界大百科事典 「モイセーエフ」の意味・わかりやすい解説
モイセーエフ
Igor Aleksandrovich Moiseyev
生没年:1906-2007
ロシアの舞踊家,振付師,演出家。1924年モスクワ舞踊学校卒業。39年までボリショイ劇場で踊り,もっとも人気ある踊り手となり,かたわら振付演出にもたずさわった。学校時代から各地の民族舞踊に興味をいだき,その蒐集の経験と知識を買われ,1937年ソ連民族舞踊団の創立に参画,以来半世紀近く芸術監督として舞踊団の育成と発展につとめた。モイセーエフ舞踊団としてその名を知られる同団は付属養成所を含め200名の団員を擁し,本拠をモスクワにおき,国内および国外の公演を行っている。上演曲目は国内だけでなく世界の諸民族舞踊を含む。多彩な郷土色をとりこみながら,民間伝承そのままの土着性は薄められ,大衆の鑑賞にたえる舞台作品となっている。演目では《パルチザン》《過去の情景》《世界諸国めぐり》などがもっともよく知られている。モイセーエフ舞踊団の成功はソ連各共和国内に同種の舞踊団を続出させ発展させる契機となった。
執筆者:野崎 韶夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報