モクレイシ(英語表記)Microtropis japonica(Fr.et Sav.)H.Hallier

改訂新版 世界大百科事典 「モクレイシ」の意味・わかりやすい解説

モクレイシ
Microtropis japonica(Fr.et Sav.)H.Hallier

海岸近くの林に生えるニシキギ科の大型の常緑低木。多く枝を出し,高さ2~4mになる。葉は対生し,革質で質は厚く,全縁で短い葉柄がある。雌雄異株。花は3~4月ころ,葉腋(ようえき)につき,小型の集散花序を作り,緑白色で直径約5mm。2個の小苞が花の基部を抱いている。花弁は5枚でほぼ円形雄花では5本のおしべと,中央に1個の退化した小型のめしべがあり,雌花ではおしべが小さく,めしべが大きく発達している。果実楕円形で長さ1.5~2cm,熟すと2裂して,中から赤色仮種皮に包まれた美しい種子が現れる。本州の千葉県以西の南岸と九州琉球諸島から蘭嶼(らんしよ)に分布し,庭園樹として栽植される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モクレイシ」の意味・わかりやすい解説

モクレイシ
もくれいし / 木茘枝
[学] Microtropis japonica (Fr. et Sav.) H.Hall.

ニシキギ科(APG分類:ニシキギ科)の常緑低木。葉は対生し、長さ5~10センチメートル、質は厚く、鋸歯(きょし)はない。雌雄異株。3~4月、淡緑色花を開く。果実は楕円(だえん)形で2裂する。名は、果実が裂けて赤い種子がのぞくようすがウリ科ツルレイシ(ニガウリ)に似ており、木本であることによる。海岸近くに生え、関東地方南部、九州、沖縄、および台湾紅頭嶼(こうとうしょ)に分布する。

[門田裕一 2020年2月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モクレイシ」の意味・わかりやすい解説

モクレイシ(木茘枝)
モクレイシ
Microtropis japonica

ニシキギ科の大型常緑低木。フクボクまたはクロギともいう。東海地方と九州の暖地の海に近いところに生える。葉は楕円形ないし倒卵形で革質,全縁で対生する。春に,葉腋に小さい集散花序をなして,多数の緑白色の小花をつける。雌雄異株。雌雄両花とも萼はほぼ球状の壺形で先端は5裂し,広卵形の花弁が5枚ある。雄花では5本のおしべがあり,めしべより長い。雌花ではめしべの柱頭が4裂する。子房は2室でおのおの2胚珠がある。果実は広楕円形の 蒴果で,熟すると果皮が基部から裂け赤い種子が出る。

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