日本大百科全書(ニッポニカ) 「モルガーニ」の意味・わかりやすい解説
モルガーニ
もるがーに
Giovanni Battista Morgagni
(1682―1771)
イタリアの解剖学者、病理学者。フォルリに生まれ、ボローニャ大学で医学を学んだ。マルピーギの弟子バルサルバAnton Maria Valsalva(1666―1723)に師事して解剖学の研究を始めた。1711年パドバ大学に転じ、1715年から五十数年間にわたり解剖学の教授を務め、その名声は早くから全ヨーロッパに知れ渡っていたという。晩年の著書『疾病の所在と原因について』De sedibus, et causis morborum per anatomen indagatis(1761)は、古来の液性病因説を退けて器官病理学を確立し、近代病理学、病理解剖学を基礎づける名著となった。とくに臨床症状の綿密な観察と、精密な解剖所見とを対応させた功績は大きい。ほかに『解剖学草稿』も著している。
[澤野啓一]