日本大百科全書(ニッポニカ) 「モーターグライダー」の意味・わかりやすい解説
モーターグライダー
もーたーぐらいだー
motorglider
出力50キロワット(約67馬力)以下の原動機を装備するグライダーで、法規上は動力滑空機という。動力をもたない通常のグライダーが、自力で離陸や上昇ができないこと、上昇気流を利用できなくなったときの高度の回復がむずかしいこと、危険を避けるための着陸復航ができないこと、などの弱点を補うことができる。飛行中自由にエンジンを停止・始動することができ、エンジンを停止してのグライディング(滑空)中は、プロペラのピッチのフェザー位置(ブレード―プロペラの羽根)を気流と平行にして抵抗を減らす。一見、きわめて便利そうであるが、グライダーとしては、エンジンや着陸装置の重量が加わって重くなるとともにその取り付けのために機体の抵抗が増え、飛行機としてはエンジンの出力が低く強度も大きくないなど中途半端の性格で、どちらの性能も十分でない欠点がある。しかし、構造が簡単、操縦が容易、安定性が高く離陸にも手間がかからず、価格も安いなどの特長がスポーツ用として迎えられ、日本でも愛好者が少なくない。
[落合一夫]