改訂新版 世界大百科事典 「ヤクシソウ」の意味・わかりやすい解説
ヤクシソウ
Youngia denticulata (Houtt) Kitam.
崩壊地,路傍など,日本全土の低山の陽地に普通に見られるキク科の一・二年草。朝鮮,中国,インドシナにも分布する。全体に無毛。茎は多数分枝して,高さ30~100cmになり,やや細く,堅い。葉は膜質で柔らかく,裏面は粉白を帯び,切ると白色の乳液が出る。有柄の根出葉は花期にはなく,茎葉はさじ形で粗い牙歯があり,基部は茎を抱く。8~11月ころ,上部の葉腋(ようえき)から出た散房花序に,径1.5cmほどの黄色の頭花が多数つく。小花は舌状の両性花のみからなる。総苞は黒緑色。頭花は花後,下を向き,果実が熟すと脱落して散布される。これは,本種の属するオニタビラコ属Youngiaの特徴である。瘦果(そうか)は黒褐色,披針形でざらつき,純白の剛毛状冠毛がある。和名は茎葉が薬師如来の後背に似ることに由来するという説がある。若菜をゆで水にさらし,食用とする。
執筆者:森田 竜義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報