日本大百科全書(ニッポニカ) 「標準体重」の意味・わかりやすい解説
標準体重
ひょうじゅんたいじゅう
多数の人々の身長と体重を測定し、統計的に標準となる体重を定めて肥満・やせすぎの基準値とするものである。標準体重は平均的なものであり、各個人にとっては、これとは別に、機能的にもっともよい体重(理想体重)がありうるわけであるが、各個人についての理想体重を決定することは現実には不可能である。標準体重表の基盤となっているのは、1942年にアメリカのメトロポリタン生命保険会社が発表したものであり、現在でも同社が60年に改変した表が用いられている。この標準体重は「望ましい体重」といわれ、疾患の有無、生命の予後などを考慮し、年齢による影響を消去して、死亡率のもっとも低い体重を求めたもので、25歳以上のすべての成人に適用されている。わが国でも、この数値を日本人のものとして再編した松木駿の標準体重がよく用いられてきた。
1986年(昭和61)、厚生省(現厚生労働省)は国民栄養調査をもとに男女別・年齢層別に、同じ身長ごとの体重分布曲線をつくり、分布がもっとも多い中心の50%部分を「普通」とした「肥満とやせの判定表」を発表した。また、明治生命保険相互会社(現明治安田生命保険相互会社)からも生命保険加入者を対象とした、もっとも死亡率の低い男女別・身長別の標準体重表が発表されている(1985)。
身長と体重の数値を基準にして、さまざまな体格指数(体型指数)を求めることもよく行われるが、それぞれに長短がある。ブローカー指数=〔身長(cm)-100〕、およびブローカー変法=〔身長(cm)-100に0.9を乗ずる〕は、この値がほぼ標準体重(キログラム)に近いというものであるが、身長の高い肥満を見逃し、身長の低い正常体重を誤って肥満と判定してしまう欠点をもっている。なお国際肥満学会ではBMI(body mass index)カウプ指数=体重(kg)/身長(m)2が頻用され、その標準となる指数を22としているが、小児には適用できない。
[井上義朗]