ユスチニアヌス1世(読み)ユスチニアヌスいっせい(その他表記)Justinianus I

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユスチニアヌス1世」の意味・わかりやすい解説

ユスチニアヌス1世
ユスチニアヌスいっせい
Justinianus I

[生]483. タウリシウム
[没]565.11.14. コンスタンチノープル
ビザンチン皇帝 (在位 527~565) 。叔父のユスチヌス1世の養子となって頭角を現し,叔父が皇帝となると政治の実務を担当,527年4月副帝,叔父の死後,8月正帝として即位。失われた旧ローマ帝国西方領の回復を目指し,将軍ベリサリウスを使って北アフリカのバンダルを平定させ (534) ,さらに将軍ナルセスを遠征させてイタリア (552) ,スペインの一部 (554) を帝国領とすることに成功。宿敵ササン朝ペルシアとは永遠の和平条約 (532) ,50年和平条約 (561) を結び長期の戦乱を収めたが,実効は薄かった。東西両戦線に目を向けすぎて北部のドナウ戦線の防備怠り,スラブ族,ブルガール人南下を許した。宗教的には正統信仰の確立に努力し,アテネの哲学院の閉鎖 (529) により,異端派に属する知識人を追放,第5回公会議を首都コンスタンチノープルで開催 (553) ,ローマ教会との友好関係の維持に努め,キリスト単性説派を退けた。国内的にはニカの乱が起こり,首都を混乱させたが,皇妃テオドラの沈着さで乗り切った。また,法律研究を大いに奨励し,法学者トリボニアヌスもとに『ユスチニアヌス法典』の制定 (533) をはじめとして,ハギア・ソフィア大聖堂の再建中央アジアから養蚕術を導入して,絹産業を興すなど内外に大きな業績を残した。

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