ゴルギアス(読み)ごるぎあす(英語表記)Gorgiās

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴルギアス」の意味・わかりやすい解説

ゴルギアス
ごるぎあす
Gorgiās
(前483ころ―前376ころ)

古代ギリシアの代表的なソフィストシチリア島の町レオンティノイに生まれる。紀元前427年、外交使節としてアテネへ赴き、弁論の才をうたわれた。エンペドクレス弟子とされるが、エレア学派の影響も著しい。『非存在について、あるいは自然について』と題される著作では、何ものも存在しないこと、たとえ存在するとしても知られえないこと、たとえ知られうるとしても他人に伝ええないこと、を論証しようと努めたが、これは、弁論術(レートリケー)の遊戯によるものと解されている。ほかに『ヘレネ頌(しょう)』『パラメデス弁明』などの著作もあるが、いずれも断片だけが残されている。

鈴木幹也 2015年1月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴルギアス」の意味・わかりやすい解説

ゴルギアス
Gorgias

[生]前483頃.シチリア,レオンティニ
[没]前376頃.テッサリ,ラリッサ
ギリシアの代表的ソフィスト,弁論家。ペロポネソス戦争中,シラクサに圧迫されていた故郷の町の外交使節の代表として,アテネへおもむいて救援を求めた (前 427) 。のち再びギリシアを訪れ弁論術の教師となって永住。現存する弁論術の著書に『ヘレネ論』 Helenēs enkōmion,『パラメデス論』 Palamēdēsがある。また失われた哲学上の著作として『自然について,あるいは存在せぬものについて』 Peri physeōs hē peri tou mē ontosがあり,ゴルギアスはそのなかで「何も存在しない,もし存在するとしてもわれわれはそれを知ることができない,またかりに知ることができたとしてもわれわれの知識を他人に伝えることができない」ということを証明しようとした。プラトンの『ゴルギアス』に登場,その派手で衒学的な様子が嘲笑的に語られている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android