ユニオン・ショップ制

人材マネジメント用語集 「ユニオン・ショップ制」の解説

ユニオン・ショップ制

・union shop
・ユニオン・ショップ制とは、経営者が労働者を雇用する際に、労働組合員かどうかは雇用条件としないが、雇用後の一定期間内に労働者は労働組合に加入しなければならないとする協定のことをいう。
・そのため、労働者が一定期間内に企業内組合(この協定を企業と締結した組合)に加入しなかったり、組合員である資格を失ったりすれば、経営者はその労働者を解雇することになる。
・しかし、実際には「組合員資格を失った者の解雇については、労使が協議して決定する」など解雇に例外を定めるケースも多く見られる。これは、尻抜けユニオンと呼ばれている。
・このケースが多く見られる理由としては、会社側が必要とする労働者が労働組合員の資格を失うことによる解雇を防ぐためである。
一方、労働者側もこれまで労働組合に「労働条件の改善」を求めてきたが経済成長と共に労働者の生活水準が向上したことで、必要性が薄れている。
・その結果、労働組合の組織率低下している。
・労働組合の組織率の低下に加え、最近上場する(した)新興企業などでは労働組合の存在自体が株価に影響を及ぼすこともあり、労働組合は、あまりみられない。
・最近では多様な雇用形態で働く労働者が増えたことで、労働組合を取り巻く環境も変化している。
・元々このユニオン・ショップ制は、大手企業(特に歴史ある製造業)で正社員を対象されているものが多く、非正社員は対象外となっていた。
・そのため、増えているパートアルバイトといった非正社員の労働条件は改善されにくい状況であった。
・その状況を改善するために、近年では首都圏青年ユニオンやフリーター全般労働組合などフリーターやアルバイトなど非正社員によって組織された労働組合も生まれている。

出典 (株)アクティブアンドカンパニー人材マネジメント用語集について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユニオン・ショップ制」の意味・わかりやすい解説

ユニオン・ショップ制
ゆにおんしょっぷせい

ショップ制

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のユニオン・ショップ制の言及

【ショップ制】より

…しかし,ショップ制の形態や運営の仕方によっては,使用者の人事権や被用者の労働権,団結権を不当に侵害する可能性もあるので,この点をめぐり多様な法的紛争が発生している。 ショップ制は,組合の規制力が弱い順に,オープン・ショップopen s.制,ユニオン・ショップunion s.制,クローズド・ショップclosed s.制があり,日本ではユニオン・ショップ制が一般化している。これらのほかに,組合加入は義務づけられないが〈ただ乗りfree rider〉防止のために組合費相当額の支払が義務づけられるエージェンシー・ショップagency s.制や,組合の示す順位に従って組合員を優先的に採用するプレファレンシャル・ショップpreferential s.制等もある。…

【地方公営企業労働関係法】より

…地方公共団体(都道府県市町村)の経営に係る地方公営企業の労使関係を規律する法律であり,地公労法と略称する。国営企業労働関係法(国企労法)の地方版である。労使関係は集団的な関係を表し,労働関係は個々の契約関係を表す。地公労法にいう労働関係は労使関係の意味である。地公労法が規律する労働関係は,鉄道事業,軌道事業,自動車運送事業,電気事業,ガス事業,水道事業,工業用水道事業その他の事業を営む地方公営企業とそこに従事する職員との間の労働関係である。…

【労働協約】より

…労働組合と使用者または使用者団体との間に労働条件その他の労働関係に関して締結される協定(契約)。まれには団体協約ともいう。
[労働協約と労働契約]
 労働協約も労働契約もともに両当事者の合意に基づいて成立する契約であるが,次のような相違がある。すなわち労働協約は労働組合という団体自体と使用者または使用者団体とを当事者(主体)として締結されるものであり,労働契約は個々の労働者と個々の使用者とを当事者として締結されるものである点において両者は区別される。…

【労働組合】より


【労働組合の本質】
 労働組合は賃金労働者が,労働者としての生活や地位の維持・改善を目的として,集団的に行動するために団結する組織である。イギリスのS.ウェッブはこれを〈生活条件を維持・改善するための賃金労働者の持続的団体〉(《労働組合運動史History of Trade Unionism》1920)と定義し,これが古典的定義とされてきたが,現代までの発展過程で,政治的問題や,企業経営や作業過程に対する労働者の発言権を拡張する問題に労働組合の活動領域が広がってきたため,この定義は現在の労働組合の活動を十分表現しえていないという批判がみられる。…

※「ユニオン・ショップ制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android