ユリノキ(読み)ゆりのき(英語表記)tulip tree

翻訳|tulip tree

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユリノキ」の意味・わかりやすい解説

ユリノキ
ゆりのき / 百合木
tulip tree
[学] Liriodendron tulipifera L.

モクレン科(APG分類:モクレン科)の落葉高木。高さ60メートルに達し、枝はすこし斜上して整形樹となる。葉は互生し、たいへん特異に分裂した形を示す。これを半纏(はんてん)に見立て、ハンテンボクともいう。5~6月、ユリやチューリップに似た黄緑色で底部に橙(だいだい)色の斑(ふ)が入る花を開く。和名はこの花形に由来し、英名のチューリップノキも同様である。北アメリカ東部原産。成長がよく、公園樹、街路樹としての利用が多い。材は比較的柔らかくて狂いが少ないため、建築、家具調度品などに利用する。繁殖は実生(みしょう)で容易にできる。ユリノキ属は、他の1種シナユリノキL. chinense (Hemsl.) Sarg.が中国、ベトナムに分布し、北アメリカとアジア両大陸に隔離分布することで有名である。本属はモクレン科の他の属に比べ、果実は裂開せずに翼果となり、雄しべは葯(やく)が外向きで、葉が特異な形になるなどの点で大きく異なり、1属でユリノキ連を構成する。

[植田邦彦 2018年8月21日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユリノキ」の意味・わかりやすい解説

ユリノキ(百合の木)
ユリノキ
Liriodendron tulipifera; tulip tree

モクレン科の落葉高木。北アメリカ東部の原産で,日本には明治初期に伝えられ,観賞用として公園や街路樹に植えられている。生育が速く,20m以上の高木になる。葉は枝先に互生し,やや四角形で長柄があり,葉質は薄くかすかに芳香がある。特徴のあるこの葉形をはんてんに見立てハンテンボク (半纏木) の名がある。托葉は大型で若芽を包んでいる。初夏,枝先に淡黄緑色の大きな花を単生する。萼片3枚,楕円形の花弁が6枚で,チューリップのように上向きに咲く。おしべは多数で,葯 (やく) は外側を向く。心皮も多数あり,花托に密着する。秋には美しい黄葉になる。東京では四谷迎賓館 (旧赤坂離宮) の前の並木が有名である。材は家具材,建築材にされる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報