日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユリワサビ」の意味・わかりやすい解説
ユリワサビ
ゆりわさび / 百合山葵
[学] Eutrema tenue (Miq.) Makino
アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の多年草。全草無毛。地下茎は細くて短く、数本のやや太い根を下ろす。茎は数本出て斜上し、高さ約15センチメートル。根際(ねぎわ)の葉は長柄があり、円形で基部は心形、波状の鋸歯(きょし)がある。茎葉は少数が互生し、上方のものほど小形になり、包葉に移行する。4月ころ、短い総状花序をつくり、白色の小花を開く。花期後、花軸が伸び、広線形の角果を数珠(じゅず)状につけ、中に種子が一列に並ぶ。山地の谷間の日陰に生え、本州から九州に分布する。名は、ワサビと同属で、冬に葉柄の基部が肥厚し、ユリの鱗茎(りんけい)に似た形になり、香味がワサビに似ていることによる。
[小林純子 2020年12月11日]