よど号ハイジャック事件(読み)よどごうハイジャックじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「よど号ハイジャック事件」の意味・わかりやすい解説

よど号ハイジャック事件
よどごうハイジャックじけん

1970年3月31日,共産主義者同盟赤軍派の田宮高麿ら 9人が,羽田発福岡行き日本航空 351便『よど』号(乗客 122人,乗員 7人)をハイジャックした事件。赤軍派は午前7時33分頃,富士山付近を飛行中に旅客機を乗っ取り,朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のピョンヤン(平壌)特別市に行くよう要求した。石田真二機長は燃料不足を理由に午前8時55分頃福岡空港に着陸。ここで乗客のうち高齢者や幼児とその保護者らを解放し,午後2時頃再び離陸,北朝鮮に向かった。しかし北朝鮮領空内で対空砲火と戦闘機の追跡を受けたため南下,午後3時15分頃に大韓民国(韓国)ソウル特別市のキンポ(金浦)空港に着陸した。韓国当局は乗客救出をはかり,空港の表示を隠して平壌空港に偽装しようと試みたが,赤軍派側に偽装が発覚。赤軍派は 3日間たてこもったのち,4月2日午後6時頃,交渉にあたった山村新治郎運輸政務次官を身代わりに乗客,乗員らの解放を決めた。3日午後6時頃に金浦空港をたったよど号は午後7時20分頃,ピョンヤンのミリム(美林)飛行場に到着。5日,残りの乗員と山村次官を乗せ無事日本に帰国した。犯行メンバーらは北朝鮮側から政治亡命として処遇され,その後の北朝鮮による日本人拉致事件にも関与したとみられている。日本政府は,現在も北朝鮮に居留する犯行メンバーの身柄引き渡しを要求している。

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