ヨルダーンス(読み)よるだーんす(英語表記)Jacob Jordaens

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨルダーンス」の意味・わかりやすい解説

ヨルダーンス
Jordaens, Jacob

[生]1593.5.20. 〈洗礼アントウェルペン
[没]1678.10.18. アントウェルペン
フランドル画家。ペーテル・パウル・ルーベンスの師であったアダム・ファン・ノールトに師事し,同時にルーベンスから強い影響を受けた。1645年カルバン派(→カルバン主義)のプロテスタントとなったが,ローマ・カトリック教会の祭壇画を多く制作。また数多くの風俗画を描き,神話や寓話もしばしば風俗画的に表現した。ルーベンスの死後,彼の後継者としての名声を得て多くの弟子を擁し,当時の画家たちの協力を得て多数の絵画を制作。主要作品『画家の家族』(1622~23頃,マドリード,プラド美術館),『豊饒』(1625頃,ベルギー王立美術館),『王の酒宴』(1638頃,ベルギー王立美術館),『プロメテウス』(1640~45,ケルン,ワルラフ=リヒアルツ美術館)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨルダーンス」の意味・わかりやすい解説

ヨルダーンス
よるだーんす
Jacob Jordaens
(1593―1678)

フランドルの画家。アントウェルペン(アントワープ)に生まれ、同地に没。1607年出生地の画家組合にノールトAdam van Noort(1562―1641)の弟子として記録されている。15年に独立、翌年ノールトの長女と結婚、21年にはアントウェルペン画家組合長に選ばれた。ルーベンスの影響を強く受け、ファン・ダイクに次いで17世紀フランドルの第三の画家に数えられる。彼の才能は宗教画、歴史・神話画、寓意(ぐうい)画、装飾画など多方面にわたって発揮されたが、本質的には当時の市民的な基盤にたつもので、市民の日常生活を描いた作品に秀作が多い。神話や古典に取材した作品にも現世的・風俗的な要素がしばしばうかがわれる。代表作に『芸術家とその家族』(マドリード、プラド美術館)、『農夫サテュロス』(カッセル国立絵画館)、『パンとスフィンクス』(ブリュッセル王立美術館)など。

[野村太郎]

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