ヨーデル(読み)よーでる(英語表記)Jodel ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨーデル」の意味・わかりやすい解説

ヨーデル
よーでる
Jodel ドイツ語
yodel 英語
yodle 英語

アルプス地方で歌われている独特の歌唱法、およびそれを含んだ楽曲形式をいう。胸声と裏声(ファルセット)を急速に交代させる歌い方に特色がある。意味のない音節で歌われ、曲の一部分(とくに最後のリフレーンの部分)に用いられることが多いが、一曲すべてがヨーデルのみで歌われるものもある。またソロのヨーデルをドローン合唱のうえに浮かび上がらせる歌い方や、ヨーデルの二重唱、三重唱もみられる。その起源は明らかではなく、牛飼いの動物への掛け声や仲間への通信手段、魔除(よ)け、あるいはアルペンホルン模倣によるなどさまざまな説がある。また類似の歌唱法は世界各地にあり、アフリカのピグミーの合唱やメラネシアにおけるものが有名である。日本でも青森県津軽の民謡ホーハイ節』において、よく似た歌唱法が部分的に使用される。

[田井竜一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨーデル」の意味・わかりやすい解説

ヨーデル
yodel; Jodel

スイスオーストリアのアルプス山地の住民の間で歌われる一種の民謡,またはその歌い方。メロディーはおもに分散和音から成り,幅広い音程で胸声と高いファルセットを頻繁に交代させながら母音唱法に近い歌い方でうたわれるのが特徴。起源は明らかでないが,中国アメリカの山岳民や,オーストラリア先住民などにも同様なものがある。

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