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民族音楽学 みんぞくおんがくがくethnomusicology

翻訳|ethnomusicology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

民族音楽学
みんぞくおんがくがく
ethnomusicology

世界の諸民族のさまざまな音楽体系を,それぞれ異なる思惟方法をそれなりに評価しながら比較検討する学問。かつては,欧米における民族音楽学ヨーロッパを除く諸民族の音楽を研究する学問であると定義されていた。しかし,アジア・アフリカ諸国での本来の美意識や音楽概念にはヨーロッパのものとは異なる体系が培われていることがわかってくるにつれて,現在ではむしろヨーロッパをも含めて諸民族のそれぞれの観点に立った比較研究の意義が認められるようになってきている。研究のテーマとしては,それぞれの文化のなかで果す音楽の役割 (社会的文化的脈絡における音楽) ,音楽を生み出す意図と知覚認識 (音楽行動) ,生み出された鳴り響く音楽の仕組み (音楽構造) という3つの大きな側面が考えられている。これらのテーマの解明のためには,それぞれ人類学や社会学,哲学 (美学) や心理学,音響学 (物理学) や一般芸術学の立場をある程度援用しながら,全体として音楽学独自の方法を駆使しなければならないとされている。社会文化との関連で音楽をみるときには,芸術的指向度の高い音楽 (ヨーロッパ,アラビア,インド,東南アジア) と社会機能性を帯びた音楽 (アフリカ,オセアニア,アメリカ先住民など) のそれぞれの文化に即して,宗教 (呪術) ,文学 (神学) ,芸術 (芸能) などに音楽がどのように関連づけられているかを探らなければならない。音楽行動については,音楽概念 (音楽とは何か) ,創造 (作曲) ,伝承 (教育) ,実践 (演奏) ,知覚受容 (鑑賞) などの基本的メカニズムをそれぞれの文化に即して探求し比較に供することができる。音楽構造の解明のためには,伝統的記譜法,五線譜,機械によるグラフ化,その他のユニークな記号化によって視覚資料をつくるなり,あるいは音から直接判断して時間語法 (リズム,テンポ,形式) ,音高語法 (音律,音階,旋法,旋律) ,音色語法,音強語法 (デュナーミク) の実際を探るなどのことが行われる。

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百科事典マイペディアの解説

民族音楽学【みんぞくおんがくがく】

世界諸民族の音楽の特徴,社会的機能を個別的にあるいは比較によって研究する学問。19世紀後半から盛んになった。かつては比較音楽学と呼ばれたが,1950年代から民族音楽学の名称が普及。
→関連項目音楽学

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世界大百科事典 第2版の解説

みんぞくおんがくがく【民族音楽学 ethnomusicology】

音楽学の一部門。研究の対象と方法が民族学ないし文化人類学と重なるため,文化人類学の一部門とも考えられ,音楽人類学anthropology of musicないし音楽民族学musikalische Völkerkunde(ドイツ語)および音楽民俗学musikalische Volkskunde(ドイツ語)と呼ぶこともある。もともとethnomusicologyの名称は,1950年J.クンストによって使われたのが最初で,そのときはethno‐musicologyとハイフン付きで表記されていた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

民族音楽学
みんぞくおんがくがく
ethnomusicology

世界諸民族の音楽文化の共時態ならびに通時態を分析・記述する、民族学と音楽学の学際的分野。その研究対象は、単に鳴り響く音の組織や構造にとどまらず、音楽が生み出されるための物質的・行動的側面や、音楽を支える精神構造、さらには生み出された音楽の社会的文化的価値や社会文化構造との相関関係にまで及ぶ。方法も多岐にわたるが、主要なものとしては、〔1〕音楽構造の記譜や計量分析をもとに音楽様式や演奏慣習の特徴を通文化的・体系的に比較する方法、〔2〕音楽文化の担い手のもつ音の認知単位や分類概念あるいは音楽に関する用語法などを基礎データとする民族科学的・民族意味論的方法、〔3〕音楽をコミュニケーションの一形態としてとらえ、意味の伝達構造や音楽生成の原理などを言語学的・記号学的に分析する方法、〔4〕音楽をつねに変化する文化的動態としてとらえ、その伝播(でんぱ)や変容の仕方を再構成もしくは予測する歴史的・通時的方法、などがあげられる。[山田陽一]

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