精選版 日本国語大辞典 「裏声」の意味・読み・例文・類語
うら‐ごえ ‥ごゑ【裏声】
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声楽や発語で特殊な効果をねらって出す高く柔らかい声。仮声(かせい)、ファルセットfalsetto(「にせ」のソプラノの意)ともいい、表声、地声(じごえ)の反対。頭に共鳴させる頭声の一種であるが、鼻にかける要素が強く、なによりも声帯の運動自体に特色がある。通常の発声では、向かい合った2枚の声帯が急速に開閉しながら振動するのに対して、裏声では開いたままの状態で振動する。男声、とくにテノールなどの高音の人の場合に、地声と顕著に異なる音色が得られるので男声のみの現象かと考えられることが多いが、女声にもあり、ただ相違がはっきりしないだけである。音楽表現に利用されるときの技法としては、表裏の急速な交代(アルプスのヨーデル)、音階上の特定の箇所での使用(青森県の民謡『ホーハイ節』、奄美(あまみ)のシマウタ、新内節、清元(きよもと)節など、外国ではモンゴルのオルティンドーなど)、特定の声部や歌手の特徴として全体的に使用(ルネサンス期の多声合唱の高声部)などがある。
[山口 修]
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…しかし,ある高さを超えると声帯筋の働きが弱まり,声帯は急に薄く引き伸ばされるようになって閉じ方も不完全になる。このような状態で出る声を〈裏声〉という。前に述べた声域とは地声と裏声をあわせた範囲をさしている。…
…【井形 ちづる】
[日本]
日本音楽の歌唱における発声法は,種目による差異が大きく,まだ総合的に体系づけられてはいない。一般に,洋楽のベル・カント唱法に比すれば,話し声に近い〈地声〉によるものとされ,高音域の特別な発声を〈裏声〉と称することなどが行われている。しかし,実際には,たとえば能などにおいては,せりふ部分でさえも,歌唱部分と発声法の相違は少なく,しかも普通の話し声とは,まるで異なる発声法によっている。…
…女声の頭声に似た響きの男声の高い声。邦楽の裏声と共通の声楽技法。ファルセットの際,ストロボスコープで観察すると,声帯の中央部が卵形に開いた状態にある。…
※「裏声」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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