ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラ・グーマ」の意味・わかりやすい解説
ラ・グーマ
La Guma, Alex
[没]1985.10.11. キューバ,ハバナ
南アフリカ共和国の小説家。ケープタウンの第6地区の生まれで,アパルトヘイト下の人種区分ではカラードに属する。ケープ工業カレッジ卒業。父は南アフリカ・カラード人民会議議長。1948年,南アフリカ共産党に入党。反アパルトヘイト闘争の指導者で,1955年の「自由の憲章」起草に参加。1956年反逆罪で逮捕される。言論面では,1955年以降『ニュー・エイジ』紙で活躍,多数の短編を発表したが,自宅拘禁や投獄,言論禁止処分を受け,1966年イギリスに亡命。アフリカ民族会議 ANCの重要メンバーで,1978年から ANCキューバ代表。アフリカ文学関係の国際会議やアジア=アフリカ作家会議でも議長を務めるなど積極的に活動した。代表作は,スラム街を舞台にカラード青年の憤怒を綴る『夜の彷徨』A Walk in the Night(1962),カラードのアイデンティティを問い団結を訴える『まして束ねし縄なれば』And a Threefold Cord(1964),獄中記『石の国』The Stone-Country(1967),反アパルトヘイト地下組織での人間群像を描く『季節の終わりの霧の中で』In the Fog of the Season's End(1972),バンツースタン建設計画とアフリカ人の抵抗を背景として差別の怨念の深さを語る『もずが虫を串刺しにする時』Time of the Butcherbird(1979)。ほかに『ソビエト紀行』A Soviet Journey(1978)。1969年,アジア=アフリカ作家会議運動によりロータス賞を受賞。(→アフリカ文学,南アフリカ文学)
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報