日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラズベリー」の意味・わかりやすい解説
ラズベリー
らずべりー
raspberry
バラ科(APG分類:バラ科)キイチゴ属Rubus数種の総称。イダエウスR. idaeus L.、ストリゴサスR. strigosus Michx.を主とし、それらにオクシデンタリスR. occidentalis L.を加え、さらにそれらの雑種から現れた赤色果系red raspberryと紫色果系purple raspberryなどをも包含する。多くはヨーロッパおよび北アメリカに分布し、栽培される。茎条はおおむね直立性、萼片(がくへん)5、花弁5からなり、春開く。果実は夏に熟し、白、黄、紅、紫色など変異があり、集合果で、熟すと花托(かたく)から分離する。花托は乾硬質で花盤に残り、生食のほか、キイチゴ香を利用し、リキュール、パイ、ジャム、プリザーブ、アイスクリーム、ジュースなどに用いる。日本ではエゾキイチゴ(イダエウスの変種)などが野生し、また栽培種の導入もみたが、果実の中の堅い多数の種子が食生活になじまないため、普及していない。
[飯塚宗夫 2020年1月21日]