翻訳|raspberry
バラ科の栽培キイチゴ類果樹の一群で,耐寒性があり,欧米北部でおもに栽培される。植物学的にはなん種かからなるが,ヨーロッパではRubus idaeus L.var.vulgatus Arrhen.が,アメリカではR.idaeus L.var.strigosus Maxim.およびR.occidentalis L.が基本になって育成されたものである。しかし利用上は果実の色で,レッドラズベリー,ブラックラズベリー,パープルラズベリーに大別される。レッドはヨーロッパ種とアメリカ種を含み,ブラックはアメリカ種,パープルは両者の雑種である。黄実種はレッドの色変り。レッドが生産の主体をなし,ロシア,ユーゴ,ポーランド,ドイツ,アメリカに多い。ラズベリーの果実は色が美しく,独特の豊かな風味が特徴である。品種は数多く,夏,秋の2回収穫できる二季成りや,果色鮮明のもの,とげなし種なども発表され,無ウイルス苗の生産や機械収穫も行われている。レッドは吸枝,根挿しで,ブラックは取木でふやし,剪定(せんてい)が必要である。日本では梅雨季の管理と,日もちが短い果実の扱いが問題である。有名品種はウィラーメット(赤),レイザム(赤),ヘリテージ(赤,二季成り),ブリストル(黒)など。
→キイチゴ
執筆者:松井 仁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
バラ科(APG分類:バラ科)キイチゴ属Rubus数種の総称。イダエウスR. idaeus L.、ストリゴサスR. strigosus Michx.を主とし、それらにオクシデンタリスR. occidentalis L.を加え、さらにそれらの雑種から現れた赤色果系red raspberryと紫色果系purple raspberryなどをも包含する。多くはヨーロッパおよび北アメリカに分布し、栽培される。茎条はおおむね直立性、萼片(がくへん)5、花弁5からなり、春開く。果実は夏に熟し、白、黄、紅、紫色など変異があり、集合果で、熟すと花托(かたく)から分離する。花托は乾硬質で花盤に残り、生食のほか、キイチゴ香を利用し、リキュール、パイ、ジャム、プリザーブ、アイスクリーム、ジュースなどに用いる。日本ではエゾキイチゴ(イダエウスの変種)などが野生し、また栽培種の導入もみたが、果実の中の堅い多数の種子が食生活になじまないため、普及していない。
[飯塚宗夫 2020年1月21日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…以下におもなものをあげる。(1)キイチゴ類 バラ科キイチゴ属Rubusの植物で,ラズベリーとブラックベリーに大別される。ラズベリーは冷涼地に適し,風味のよい赤実種が好まれ,北ヨーロッパ,北アメリカで多く栽培され,黒・紫実種は北アメリカのやや暖地寄りに栽培される。…
※「ラズベリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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