一国ないし世界の政治的・社会的構造の根本的転換をもくろみ,そのために献身する指導者および闘士と定義できようが,その社会的属性(青年,知識人層が多いなど),イデオロギー,要求される資質などは,近代以降に限定しても時空の条件によって異なる。19世紀以降に限ってみるとマルクス主義的共産主義運動の出現とその第二インターナショナルにおけるヘゲモニーの確立,ついでレーニンによって率いられたロシア革命の成功と1919年のコミンテルンの設立が二つの画期をなす。マルクス主義的共産主義以前(たとえばバブーフの陰謀)ないしそれ以降のブランキ主義,およびプルードン主義,バクーニン主義などの無政府主義的諸潮流において,革命は非合法の秘密結社などに結集する少数の職業革命家たちの扇動あるいは陰謀による蜂起によって突然ひき起こされる既成秩序の暴力的転覆としてイメージされ,革命家もまたこのようなイメージに照応的にとらえられていた。これに対しマルクス主義の出現と確立以後は,暴力革命は〈科学的社会主義〉の理念と洞察を基礎とし,プロレタリアの先進分子を結集する〈革命政党〉によって指導されると観念されるにいたった。このような暴力革命および〈前衛党〉に結集する職業革命家におけるイデオロギーの重要性,目的意識性,組織性をさらに強調し,具体化したのはレーニンおよびコミンテルンであった。そこでの〈革命家としての共産党員〉とは,(1)マルクス=レーニン主義の人間解放の思想と科学的真理性を固く信じ,(2)その真理がプロレタリアートの前衛としての〈党〉に体現されていることを確信し,(3)〈民主集中制〉という党組織原則を厳守して,いっさいの自己犠牲と献身を惜しまない人間類型である。このような革命家像は,今日,現存社会主義における革命の風化,西欧共産党の変貌によって再検討を迫られている。とくに,既存社会主義においては,革命の風化と執権党のマンモス政党化によって,特権的階級の出現,イデオロギーの建前化と革命的エートスの喪失,党員の〈官僚〉化が問題となっており,また西欧共産党においても,先進国革命路線とさきの〈革命家としての共産党員〉の諸信条とをどう折り合わせるか,また党の大衆政党化に伴う大量の〈非職業的〉平党員と伝統的〈革命家〉像をどう調整するか,が問題となろう。
執筆者:田口 富久治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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