改訂新版 世界大百科事典 「ランディーニ」の意味・わかりやすい解説
ランディーニ
Francesco Landini(Landino)
生没年:1325ころ-97
イタリアの音楽家。幼時に天然痘で失明し,暗黒の恐怖から逃れるために音楽に励んだと伝えられる。1365年から没するまで,フィレンツェのサン・ロレンツォ教会の参事会員で,死後同教会に埋葬され,オルガネット(手持ちオルガン)を奏する彼の姿が刻まれた墓碑銘が残されている。
バッラータ,マドリガーレ,カッチャなどの形式による2~3声の世俗歌曲が約150曲残されているが,バッラータは140曲で圧倒的に多い。ランディーニは,イタリアのアルス・ノバの初期のマドリガーレから出発し,のちに同時代のフランスの音楽の影響を受けて,ビルレー系のバッラータの創作に傾いていったのではないかと考えられ,この種目において,フランス風の構成の手堅さとイタリアの流麗な表情とをみごとに融合している。最上声が導音-6度音-主音(主音をドとすれば,シ-ラ-ド)と動くことを一つの特徴とする14世紀の終止法は,ランディーニ終止と呼ばれることがある。
執筆者:戸口 幸策
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報