ランドルフィ(読み)らんどるふぃ(英語表記)Tommaso Landolfi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランドルフィ」の意味・わかりやすい解説

ランドルフィ
Landolfi, Tommaso

[生]1908.8.9. ピーコ
[没]1979.7.8. ローマ
イタリアの小説家。第2次世界大戦前は反ファシズムを標榜して官憲迫害を受けた。超現実主義的な作風で知られるが,多彩な翻訳家でもある。『月の石』 La pietra lunare (1939) ,『秋の物語』 Racconto di autunno (47) ,『短編集』 Racconti (61) ,『不可能の物語』 Racconti impossibili (66) ,『ローマのゴーゴリ』 Gogol a Roma (71) ,『死のすみれ』 Viola di morte (72) などがあり,ゴーゴリ,プーシキンレールモントフホーフマンスタールなどの翻訳も多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランドルフィ」の意味・わかりやすい解説

ランドルフィ
らんどるふぃ
Tommaso Landolfi
(1908―1979)

イタリアの小説家。中部イタリアビーコに生まれる。フィレンツェ大学文学を学び、同市の反ファシスト青年の文学サークルに通った。『大体系の対話』(1937)を皮切りに、『ゴキブリの海』(1939)、『剣』(1942)と、超現実主義的な短編集を次々に発表し、20世紀を代表する幻想作家と目された。ポー、ゴーゴリ、カフカらの影響を受け、逆説ブラックユーモアを用いて、読者の意表をつく手法を得意とするが、作品の根底には人生への深いペシミズムが潜んでいる。ドイツ、ロシア文学の研究者としても高名で、カジノに通い詰めるなど、奇行も多い。『月の石』(1939)、『影』(1954)、『でたらめに』(1975)などが代表作である。

[竹山博英]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例