世界の不条理を強調する残酷でグロテスクなユーモアをいい、とくに文学上の系譜、ジャンル、現象について用いられる。1940年にA・ブルトンが『黒いユーモア選集』を編み、フロイトを援用して、苦悩を強いられた自我の復讐(ふくしゅう)と精神の解放を強調した。広く知られるのは60年代で、フランスではビアンの復活、トポールRoland Topor(1937?― )の登場をみた。アメリカではフリードマン編『ブラック・ユーモア』(1965)がきっかけで、フリードマンのほか、ヘラー、サザン、ボネガット、W・S・バローズ、ピンチョン、バースら、60年代作家のほとんどがこの関連で語られた。人生をジョークとみる彼らの文学は、多様化、断片化、非人間化が進み、事実と虚構との区別がむずかしいアメリカ社会の状況を映すものであり、絶望からの笑いが、最後に世界の受容を試みているといえよう。
[北山克彦]
『『ブラック・ユーモア選集』全6巻(1970~71・早川書房)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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