キク科ユリアザミ属Liatrisの総称。耐寒性多年草で北アメリカ原産。根部が塊茎状となるため,球根植物として扱われることもある。ユリアザミ属には約40種ほどあるといわれるが,園芸的には次の種類が多く栽培され,おもに切花として用いられる。キリンギクL.spicata(L.)Willd.(英名devil’s-bit,prairie pine)は高さ1m以上となり,葉は線形,花は小さい藤桃色の頭状花で密な長い穂状花序となる。花期は7月。タマザキリアトリスL.ligulistylis(Nelson)Shulz Bipontiusは高さ50cm前後,紫色小花が密集した頭状花を散房総状花序につける。花期は6~7月。マツカサギクL.scariosa(L.)Willd.(英名blue blazing star,rattlesnake master)は高さ1.2~1.5m,茎は強直で,半球形の頭状花を粗い穂状花序をなしてつけ,花茎は藤紫色。花期は9月。これもタマザキリアトリスと呼ばれることがある。ヒメキリンギク(ユリアザミともいう)L.pycnostachya Michx.は高さ1m前後,線形葉は密生し,紫色の頭状花が密穂花序となる。花期は8~9月。
栽培は3月ごろ塊茎を植えるが,実生も容易で春まきをする。日当りと排水のよい所で栽培するとよい。夏に白絹病が出やすいので乾燥地では注意する。
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
キク科(APG分類:キク科)リアトリス属の総称。北アメリカ原産の耐寒性多年草。根は塊茎状を呈するものが多い。約40種知られ、和名キリンギク、マツカサギク、ユリアザミの名でよばれるものがある。よく知られるスピカータL. spicata Wild.は高さ1.6メートル以上に達する。葉は線状で多数つき、上部にいくほど小形になる。6~7月、茎の上部に穂状に頭状花をつける。花は紫桃色で白色花の品種もある。またリグリスティリスL. ligulistylis Schum.は、高さは前種より低く、約45センチメートル。頭状花は半球状で大きく、茎の上部に総状花序につく。スカリオサL. scariosa Wild.とともにタマザキリアトリスとよばれる。なおスカリオサはマツカサギクともよばれる。
栽培は容易で耐寒性も強く、日当りのよい所では土質を選ばない。繁殖は一般に実生(みしょう)により、4~5月、畑に播種(はしゅ)する。株分けもできる。
[岡田正順 2022年5月20日]
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