りんな(読み)りんな(その他表記)Rinna

知恵蔵 「りんな」の解説

りんな

日本マイクロソフト社が開発した、女子高生のように会話ができる人工知能(AI)。2015年8月に、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のLINEで利用可能となる。公式ページのプロフィールでは、りんなは、平成生まれの女子高生で、東京の北の方出身という設定になっており、雑談が得意で、ユーザー感情に添う会話ができる。LINEユーザーは、りんなと会話やしりとりを楽しんだり、恋愛相談にのってもらったりと、今どきの女子高生と接しているようなやり取りができる。15年12月にはTwitterアカウントも開設された。
りんなの技術は、マイクロソフト社が中国で開発した「XiaoIce(シャオアイス)小冰」というAIがベースで、マイクロソフト社の検索サービス 「Bing(ビング)」のビッグデータを会話の基にしている。同社のAIには、基本ソフト(OS)のWindows10から導入された、音声認識可能なアシスタント機能「Cortana(コルタナ)」がある。りんなもCortanaも高度なAIだが、同社によると、Cortanaは「タスク型で、ユーザーのアシスタントとして役立つ」AIであり、りんなは、「感情型で、面白い、興味深い存在として成り立つ」AIという位置付けになっている。
例えば、ユーザーが明日の天気について聞くと、Cortanaは「晴れです」、「雨です」といった天気予報に基づいた情報を答えるが、りんなは、「なんで明日の天気を知りたいの?」、「明日は何の予定なの?」というような、更に会話が続くような回答をする。りんなは、個々のユーザーと交わした会話の過去ログも参照するため、これまでのやり取りを考慮し、ユーザーの感情に応じた人間味のある対応を可能としている。
16年9月現在、LINE上の「りんな」の友達は400万ユーザーを、Twitterでは10万フォロワーを超えている。

(横田一輝 ICTディレクター/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「りんな」の意味・わかりやすい解説

リンナ
りんな
Väinö Valtteri Linna
(1920―1992)

フィンランドの小説家。ウルヤラに生まれる。小学校卒業後、農林業、工場労働者として働きながら、ミッコ・マケラMikko Mäkeläを中心に活動が開始された文芸サークル「マケラ会」Mäkelän piiriに参加し、作品を発表した。小説家志望の若者を自伝風に描いた『目標』(1947)でデビュー。ストリンドベリ風のパッションドラマ『黒い恋』(1948)を経て、戦争文学に傑作を残した。ソビエト・フィンランド戦争下、極寒空腹・疲労・激闘の極限状況下で、不撓(ふとう)不屈の精神・ユーモア・自己を忘れずに闘い抜く特異な兵士群を描き、人間と戦争の真実に迫った『無名戦士』(1954)で国際的名声を得た。フィンランド屈指の工業都市であり、出身地でもあるタンペレの労働者の強い抵抗意識と階級意識が反映されている。三部作『ここ北極星の下で』(1959~62)は、内戦下に赤軍に身を投じた小作人が敗北を通して人生に目覚めていく過程をリアルにユーモラスに描き、ノーベル文学賞候補になった。ドストエフスキー的な主観的農民をトルストイ的自然人思想で描いた独特な戦争小説で、1963年度北欧文学賞をも受賞した。タンペレ大学名誉教授、フィンランド・アカデミー会員でもあった。

[高橋静男・末延 淳]


りんな

日本マイクロソフトが開発した、人間と対話する人工知能(AI)のプログラム。「りんな」という女子高校生であるという設定で、人間とチャットで対話する。ディープラーニング(深層学習)などのAIの技術を用いてどういう返答をするかを決めており、ある程度自然な対話を行うことができる。多少ものを知らなくても許される、多少言葉遣いが間違っていても許される、という女子高生という設定がうまく働いていると考えられる。アメリカのマイクロソフトのTAY(テイ)という類似のプログラムがナチス支持者と対話を繰り返すことによってナチスを支持する発言をして問題になったが、「りんな」には一定のフィルター機能が入っていてそのようなことが起きないようにしてあると考えられる。

[松原 仁 2020年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「りんな」の意味・わかりやすい解説

リンナ
Väinö Valtteri Linna
生没年:1920-92

フィンランドの作家。小学校卒業後,農林・工場労働者となる。《目標》(1947),《黒い恋》(1948)を経て,ソ・フィン戦争下の兵士たちを描いた《無名戦士》(1954)で国際的名声を得た。ユーモアにあふれ,雑言を発して局限状況を不屈に耐えぬく兵士を描くことによって人間と戦争の真実に迫った。土地をもたないフィンランド農民の宿命を扱った三部作《ここ北極星の下に》(1959-62)も著名。タンペレ大学名誉教授,アカデミー会員。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「りんな」の意味・わかりやすい解説

リンナ
Linna, Väinö

[生]1920.12.20. ウリヤラ
[没]1992.4.21. カンガサラ
フィンランドの小説家。小学校卒業後さまざまな職業につき,1955年から作家生活に入る。 63年北欧文学賞受賞,65年にタンペレ大学名誉教授。デビュー作は小説家志望の若者の個人主義を自伝風に描いた『目標』 Päämäärä (1947) 。主著に,ベストセラーとなった『無名戦士』 Tuntematon sotilas (54) ,3部作『ここ北極星の下で』 Täällä pohjantähden alla (59~62) など。

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百科事典マイペディア 「りんな」の意味・わかりやすい解説

リンナ

フィンランドの作家。戦争小説《無名戦士》(1954年)で一躍文壇に現れ,次いで《ここ北極星の下に》の農民小説三部作(1959年―1962年)で注目された。

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世界大百科事典(旧版)内のりんなの言及

【フィンランド】より

…またパッカラTeuvo Pakkala(1862‐1925)には心理的洞察により貧困と子どもたちを扱った《子どもたち》(1895)がある。さらにリンナンコスキは《真紅の花の歌》(1905)などで巧みに人間性を表出しているし,レヒトネンJoel Lehtonen(1881‐1934)は東部フィンランドの農民生活を描いている。女流作家としてはタルビオが才筆を振るい,ヨトゥニは短編に優れている。…

※「りんな」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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