ルウォフ(読み)るうぉふ(英語表記)André Michel Lwoff

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルウォフ」の意味・わかりやすい解説

ルウォフ
るうぉふ
André Michel Lwoff
(1902―1994)

フランスの微生物学者。アリエ県で生まれる。19歳のとき、パスツール研究所に勤め、そこで働きながら学び、1927年医学博士号、1932年理学博士号を取得した。同年ハイデルベルク大学、1936年ケンブリッジ大学に留学した。1938年パスツール研究所の微生物学・生理学部長につき、同研究所を微生物学遺伝学の世界的センターに成長させた。1959年からパリ大学の微生物学教授を兼任、また1962年から1971年まで国際微生物学会会長を務めた。1972年(昭和47)に来日している。

 ルウォフの初期の研究は、原生動物の栄養摂取についてであった。その後、1940年代後半からバクテリオファージの溶菌作用を研究し、その過程でウイルス増殖に関してプロファージ(潜在ファージ)という概念を導入、プロファージの遺伝子に対する働きについて解明、また紫外線の照射がプロファージの作用を誘発することを発見した。1965年に「酵素とウイルスの合成の遺伝的制御に関する発見」により、門下生のF・ジャコブ、J・L・モノーとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。

[編集部]

『アンドレ・ルヴォフ著、松代愛三・下平正文訳『生命の秩序』(1973・みすず書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルウォフ」の意味・わかりやすい解説

ルウォフ
Lwoff, André Michel

[生]1902.5.8. アリエ,エイネルシャトー
[没]1994.9.30. パリ
フランスの微生物学者。パリ大学で医学を学び,1938年にパスツール研究所微生物生理学部長となり,微生物の遺伝学的研究を進めた。 59年パリ大学教授を兼任。構造遺伝子調節遺伝子があることを証明,ウイルスの合成の遺伝子的制御に数々の業績をあげ,研究室員の J.モノ,F.ジャコブとともに 65年のノーベル生理学・医学賞受賞。

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