翻訳|Lucifer
キリスト教の墜落天使(反逆天使,堕天使)の名でルキフェル,ルシファーともいう。〈明けの明星〉の意。この呼名は旧約聖書《イザヤ書》14章12節の記述によるもので,初期教父時代から墜落天使の名として用いられた。もとは天使であり,全天使の首領でもあったが,あるとき神と敵対し,天上を追われたとされる。またこの墜落が,新約聖書《ヨハネの黙示録》12章7節に記されたミカエルと竜との闘いと同一視されることもある。美術では中世以降,教会堂装飾や写本画などにあらわされる。天上にいるときは,大天使あるいはセラピムの姿で描かれることもある。天上から追い落とされるにしたがって,蛇や竜,醜い人間などに変わっていくが,その姿は民間の信仰を反映して多様である。
執筆者:浅野 和生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報