日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルビア」の意味・わかりやすい解説
ルビア
るびあ
Carlo Rubbia
(1934― )
イタリアの物理学者。スロベニアとの国境沿いにあるゴリツィアに生まれる。ピサ大学で物理学を学び、1958年に宇宙線の実験研究で博士号を取得した。渡米してコロンビア大学の研究員となったが、1960年イタリアに戻りローマ大学で研究を続けた。さらに同年スイスのジュネーブにあるヨーロッパ原子核研究機構(CERN(セルン))に移り、1989年から所長を5年間務めた。また1970年から1988年まで、ハーバード大学の物理学教授を兼任した。
大学時代から一貫して高エネルギー物理学の研究を行ったが、とくにCERNにおいて、実験グループのリーダーとして活躍した。素粒子間に働く相互作用のうち、弱い相互作用は弱ボソンweak bosonの媒介により生ずることが理論づけられ、そのボソンはW粒子およびZ粒子とよばれた。ルビアの研究グループは、強力な加速器を用いて、陽子と反陽子とを衝突させる実験に取り組み、1982年に100万件に及ぶ衝突事例を解析した結果、W粒子を発見することに成功した。さらに翌1983年にはZ粒子も発見した。この業績によって、ルビアは1984年のノーベル物理学賞を受賞した。W粒子およびZ粒子発見のときに使用された装置を開発したバン・デル・メールも共同受賞した。
[編集部]
『ガリー・トーブス著、高橋真理子・溝江昌吾訳『ノーベル賞を獲った男――カルロ・ルビアと素粒子物理学の最前線』(1988・朝日新聞社)』