ルフェーブルデタープル(英語表記)Jacques Lefèvre d'Étaples

改訂新版 世界大百科事典 「ルフェーブルデタープル」の意味・わかりやすい解説

ルフェーブル・デタープル
Jacques Lefèvre d'Étaples
生没年:1450ころ-1536

フランスの人文学者,宗教改革先駆者。ラテン名ファベル・スタプレンシスFaber Stapulensis。北フランス,ピカルディーのエタープルに生まれ,パリに学び人文学教授となり,1507年サン・ジェルマン・デ・プレ修道院長の地位についてフランスのルネサンス学問を代表した。聖書研究と聖書翻訳を出版し,宗教改革の志を抱き,〈信仰による義認〉の教理の強調はルターに先んじている。20年に門下のブリソンネGuillaume Briçonnetたちとともにモー司教区の改革に着手,新約聖書の初のフランス語訳を完成するなどしたが,まもなく異端嫌疑をかけられて逃亡,以後沈黙する。30年に南フランス,ネラクに隠退,マルグリット・ド・ナバール庇護を受けこの地で死んだ。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルフェーブルデタープル」の意味・わかりやすい解説

ルフェーブル・デタープル
Lefèvre d'Étaples, Jacques

[生]1455頃.エタープル
[没]1536.3. ネラック
フランスの神学者,ユマニスト。パリとイタリアで古典語,古典文芸,新プラトン派の神秘思想などを学ぶ。アリストテレスの研究と並行して,古代文芸とキリスト教信仰の調和を目指し,エラスムスと同様聖書の原典研究にもたずさわった。旧約聖書『詩篇』,パウロ書簡,福音書,公同書簡などの校注,解義を著わし,聖書のフランス語訳を完成 (1530) する一方,教会制度の平和的改革の実践活動に乗出した。 1521年からパリの東モーの町で「モーの聖書学者」 Groupe de Meauxの中心として活躍したが,ソルボンヌなどの迫害で運動は挫折晩年マルグリット・ダングレームの庇護を受けた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルフェーブルデタープル」の意味・わかりやすい解説

ルフェーブル・デタープル
るふぇーぶるでたーぷる
Jacques Lefèvre d'Étaples フランス語
Faber Stapulensis ラテン語
(1455―1536)

フランスのエタープル生まれの人文主義者。パリ大学に学び、優れたギリシア語の知識から、アリストテレスが誤解されていることに気づき、イタリアでアリストテレス学者と交際を結んだのち、主として対話形式の注釈をつけて、アリストテレスの著作刊行に努めた。古代哲学復興の努力は、同時代人から高く評価され、フランスやドイツにおけるアリストテレス研究を大いに促した。他方、聖書、とくにパウロの書簡、教父、中世の神秘家などの著作を研究した。その際、カトリックプロテスタントの対立に中立を保とうとはしたものの、自由と恩寵(おんちょう)の問題についてペラギウス派に近いと目され、二度裁判にかけられ、異端の宣告も受けた。

[大谷啓治 2015年6月17日]

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百科事典マイペディア 「ルフェーブルデタープル」の意味・わかりやすい解説

ルフェーブル・デタープル

フランスの人文学者,宗教改革の先駆者。聖書の原典批判を行って最初の新約聖書仏訳を刊行。信仰義認と聖書主義の立場をとり,モー司教区の改革に携った。晩年は南仏に隠棲,マルグリット・ド・ナバールの庇護を受けた。

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