日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルブリョフ」の意味・わかりやすい解説
ルブリョフ
るぶりょふ
Андрей Рублёв/Andrey Rublyov
(1360/70―1430)
ロシアの画僧。中世ロシアの生んだ最大の画僧であるが、その若いころの伝記的資料は存在しない。しかし、若いルブリョフがモスクワのクレムリンの聖堂でギリシアのイコン画家フェオファン・グレックやその弟子たちのフレスコ画を見る機会があったことは容易に想像される。事実、1405年にはクレムリンのブラゴベシチェンスキー聖堂で、フェオファン・グレックやプローホルとともに聖堂の壁画やイコンの飾り付けに参加している。その後、08年にはウラジーミルのウスペンスキー聖堂の壁画を描いたが、今日ルブリョフの名を不朽のものとしているのはイコン『聖三位(さんみ)一体』によるといっても過言ではない。このイコンはロシア・イコンの美的世界の頂点にたつもので、その後のロシア・イコンに与えた影響も計り知れないものがある。
[木村 浩]