ルースカヤ・プラウダ(その他表記)Russkaya pravda

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルースカヤ・プラウダ」の意味・わかりやすい解説

ルースカヤ・プラウダ
Russkaya pravda

(1) ルス法典とも呼ばれる。古代ロシアの法典。 11~12世紀に編纂されたキエフ・ロシアの法律で,それまでの慣習法,判例,諸公国の法が基礎となった。最初の編纂はヤロスラフ1世 (賢公)時代になされた。 1497年の法令集ができるまで,プスコフノブゴロドウクライナ,白ロシア,リトアニア (リトワ) の法律の基礎にもなった。3種の編纂がある。 (2) デカブリストの「南方結社」の基本綱領。 1824年 P.I.ペステリによって執筆され,蜂起が成功して,臨時革命政府が樹立された際の憲法に代るものとして作成された。農奴制と専制政治を廃止し,連邦共和制を打出している。デカブリストの諸綱領のなかでも,最もラジカルなもので,土地を私有地と公共用地に2分し,すべての市民に後者の利用権を認めた。しかし他方では中央集権的な色彩が強く,ジャコバン主義的傾向があるとして,ときとして批判されることがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルースカヤ・プラウダ」の意味・わかりやすい解説

ルースカヤ・プラウダ
るーすかやぷらうだ
Русская Правда/Russkaya Pravda

古代ロシアの法典集。ヤロスラフ1世(賢公)の法典、ヤロスラフ(1世)の子供らの法典、ウラジーミル・モノマフの法典など、全部で121条よりなる。殺人者に対する血の復讐(ふくしゅう)の禁止と人命金の導入、公の親兵など諸役人の生命と財産の保護、各種隷属民(スメルドザークプ、ホロープなど)の身分規定、債務・相続法などに関する規定など、刑法、訴訟法が中心となっている。この法典は11~13世紀ロシア社会の状況をよく表しており、キエフ・ロシア社会研究に不可欠の史料となっている。それは実質上15世紀末の『法典集』(スジェブニク、1497)公布まで効力を保った。また、12、13世紀のノブゴロド、スモレンスクのドイツ諸都市との条約、ノブゴロド・プスコフ裁判法などの基盤となったほか、ウクライナ、白ロシア、リトワ(リトアニア)法の発展にも大きな影響を与えた。

[栗生沢猛夫]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ルースカヤ・プラウダ」の解説

ルースカヤ・プラウダ
Russkaia pravda

ルーシ(ロシアの古名)のプラウダ(法)の意。ロシア社会初期の法典。11世紀前半成立のヤロスラフのプラウダをはじめ,13世紀初頭までの法を含む。のち血の復讐や神盟裁判が廃され,15~16世紀には初期ツァリーズムの法体系にとって代わられるが,一部法規範は18世紀まで有効であった。なおデカブリストの一人,ペステリは自分の共和制的憲法草案にこの法典と同じ名をつけている。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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