改訂新版 世界大百科事典 「レアルシューレ」の意味・わかりやすい解説
レアルシューレ
Realschule
ドイツの中等学校の一つで,実科学校と訳される。レアルシューレの歴史は18世紀初頭にさかのぼり,工業,商業,技術の発達に伴い,市民階級における実学への要求の高まりとともに発展したが,19世紀においてはギムナジウム(中等学校)とフォルクスシューレ(初等学校)の中間に位置する学校の一つとして整備されていった。ナチス時代には一時廃止されたが,第2次世界大戦後,西ドイツにおけるワイマール時代以来の三分岐型制度の踏襲とともに復活した。戦後十数年間は種々の試行や調整も行われたが,1964年の各邦間協定により共通の初等学校としてのグルントシューレ(基礎学校,4年制)に接続する3種の中等教育機関が統一的に設定された。すなわち,ハウプトシューレ(基幹学校,5年制)とレアルシューレ(6年制)とギムナジウム(9年制)であるが,従来の中間的諸学校がミッテルシューレ(中間学校)も含めてすべてレアルシューレの名称に統一された。レアルシューレはあらゆる職業分野における中堅層養成に通じるコースであり,その卒業生はただちに職業生活に入る者と専門的諸学校に進学する者とに分かれる。教育内容としては実科教科に重点が置かれているが,全体としてかなり程度の高い一般教育をめざしている。
執筆者:平野 正久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報