人工呼吸器ともいう。呼吸が十分でないか停止している場合に,呼吸を助ける目的で用いられる器具や器械をいう。ただし,レスピレーターは,人の肺がつかさどっているような酸素と炭酸ガスの交換を代行するものではなく,単に肺へ空気や酸素を送り,肺で交換された炭酸ガスを体外に取り除くことしかできない。したがって国際的には,レスピレーターではなく,肺換気を目的とする器械という意味でベンチレーター(人工換気器artificialventilator)と呼ぶのが正しいが,日本では,以前からの習慣でレスピレーターと呼ぶ人が多い。レスピレーターはその用途により,(1)救急時使用のもの,(2)麻酔時使用のもの,(3)病室や集中治療室で使用のもの,などに分類される。前2者は短時間使用のものであるが,後者は比較的長期間使用されるものである。なお,レスピレーターといえば,普通は長期間換気用のものを意味する場合が多い。成人と幼小児では呼吸のしかたや肺の大きさが著しく異なるので,レスピレーターの設計や機構も分けられている。レスピレーターは従圧式pressure presetと従量式volume presetの二つの型に大別される。従圧式は,レスピレーター回路内の圧があらかじめ設定された圧になるまで送気する型である。従量式は,あらかじめ設定した量のガスを送り込む型である。最近のレスピレーターには,換気回数や換気量の設定,酸素濃度調節,加湿などはもちろんのこと,より高度の呼吸法ができるいろいろの機構が組み込まれている。また,一部のコンピューター化も進められている。なお,レスピレーターの動力源には電動と圧縮ガス駆動とがある。レスピレーターは,患者の呼吸状態に応じて,自動的に時々刻々と条件を変えることはできない。使用目的に応じて,いろいろな条件をその都度人間が設定しなければならない。その時点でのいろいろな情報を患者から収集して,適正な条件を設定してレスピレーターを使用すれば,たいへん有用な医療機器となりうる。
→人工呼吸 →人工心肺
執筆者:中江 純夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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