家庭医学館 「レム睡眠とノンレム睡眠」の解説
れむすいみんとのんれむすいみん【レム睡眠とノンレム睡眠】
ノンレム睡眠は脳の電気的活動(脳波)のパターンにより4段階に分類されます。健康な成人の睡眠はノンレム睡眠の第1段階から始まり、第4段階へ移行するにしたがって深くなり、その後レム睡眠が生じます。このようにしてノンレム睡眠とレム睡眠は約1時間半の周期で交互に出現します(表「健常成人の夜間睡眠経過図」)。
●夢とレム睡眠
睡眠中に人を起こし、そのときの体験を聞くと、レム睡眠では80%以上の人が夢を想起でき、ノンレム睡眠では20%前後の人しか夢を想起できないという研究報告があります。この結果から、レム睡眠と夢見が強く関係していると考えられます。
●レム睡眠行動障害と金縛(かなしば)り
レム睡眠中は、重力に抗する筋肉の緊張を抑えるという神経機構がはたらきます。そのために、行動をともなう夢をみている場合でも、実際には動かず、安全にからだの休息がとれるのです。この機構が障害されると、夢見のときに行動が表出されます。これがレム睡眠行動障害(睡眠時随伴症(すいみんじずいはんしょう)の一種)の発生メカニズムと考えられています。
また、レム睡眠から覚醒(かくせい)への移行に際し、筋緊張の抑制がしばらく続くことがあります。このとき、目は覚めているのに、からだが動かないと自覚され、恐怖感をもったり、お化けや霊的存在などの夢をみたりする場合があります。これが金縛(かなしば)りです。
これは、とくに10~20歳代で経験されるありふれた現象ですが、ナルコレプシー(居眠(いねむ)り病)の症状としても出現します。つまり、金縛りはレム睡眠に関連した現象で、心霊現象ではありません。